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記事2003年8月3日 1900号 (2面) 
経常費助成充実求め要望
大阪など10府県知事が文科相らに提出
学校選択の自由保障
授業料軽減補助制度へ支援も
  大阪府など十府県の知事が七月十七日、連名で遠山敦子・文部科学大臣、片山虎之助・総務大臣、塩川正十郎・財務大臣に対して、経済的な理由で私学への就学や修学の継続を断念することがないよう保護者の経済的負担を軽減していくことは重要な行政課題としたうえで、(1)経常費助成に対する財政措置の充実(2)授業料軽減補助制度等への財政支援を求めた要望書を提出した。

 提出した要望書の中で経常費助成に対する財政措置の充実に関しては、「今後の高校教育のあり方としては、公私立高校が互いに競い合いながら、公私トータルでより良質な教育サービスを国民に提供することが求められており、このためには公私立間で均衡のとれた財政措置が不可欠」としている。また授業料軽減補助制度等への財政支援は、国民の公立私立を問わない自由な学校選択を支援する措置としている。このうち文部科学省では、山登敏男・大阪府生活文化部長、中村誠仁・大阪府生活文化部私学課長のほか、四県の課長らが同省の加茂川幸夫・高等教育局私学部長を訪問、要望書を手渡した。この席で山登部長は、要望事項を説明した上で、「三位一体の改革の国における個々の事業の扱いはこれからであろうが、私学助成については、文部科学省が中心的な役割を果たして頂いて、現行の私学助成水準が、さらに地方として充実して歳出できるようお願いしたい。この点については十府県共通の思いである」と述べた。
 これに対して加茂川私学部長は、「文部科学省としては、三位一体の改革の流れの中で、私学助成が縮小するようなことがあってはならないと考えている。そのためには、国庫補助の堅持・拡充がぜひとも必要であり、その方向に向かって文部科学省、府県、私学団体が一体となって共通認識をもって取り組んでいく必要があると考えている」と答えた。
 大阪府の場合、高校生生徒一人当たりにかけられている教育経費(平成十三年度、全日制)は、府立高校で九十四万四千円、私立高校は八十六万三千円だが、そのうち国の財源措置は、府立高校の六十八万九千円に対し、私立高校は二十六万八千円にすぎない。また大阪府の府民意識調査(平成十二年三月)結果によると、学費に差がない場合の魅力度に関して公立学校の保護者は、公立高校を挙げた人が一七%、私立高校を挙げた人は三八%だった。
 要望書を提出したのは、宮城、愛知、滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山、福岡、鹿児島の各府県知事。

文科省の加茂川私学部長(左)に要望内容等を説明する山登大阪府生活文化部長

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