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記事2003年8月13日 1901号 (1面) 
学校法人制度改善検討小委中間報告 文部科学省
財務公開義務づけ
理事会を法的位置づけ
関係団体等に意見求め10月中旬決定
  文部科学省の大学設置・学校法人審議会学校法人分科会内に設置されている「学校法人制度改善検討小委員会」(祖敏明座長=学校法人上智学院理事長)は、このほど、学校法人制度の改善方策に関する「中間報告」をまとめ、八月七日、同分科会に報告した。中間報告では、全学校法人を対象に財務書類の公開を法的に義務付けること、学校法人業務の最終的決定機関として明確化する観点から理事会を法令上に位置づけること、理事会での白紙委任の禁止、監事の監査範囲・内容の明確化等を提言している。

 今回の学校法人制度の見直しは、少子化の進行など社会・経済情勢に的確に対応して一層安定した学校運営を行うとともに、公共性の高い法人として社会に対する説明責任を果たしつつ、今後とも健全に発展していくため、学校法人の公共性を一層高め、自主的・自律的な管理運営機能の充実を図るもの。中間報告は@理事機能の強化A監事機能の強化B評議員機能の強化C財務情報の公開Dその他の検討課題からなっている。
 このうち理事機能の強化に関しては、学校法人の運営に関する権限と責任の所在を明確にし、各理事が学校法人の運営に対し積極的に参画すること、意思決定がより機動的に行えるようにし、また意思決定が専断的にならないことが必要としている。
 具体的には理事長のみが代表権を有している場合や担当理事が置かれている場合など学校法人の代表権の制限が行われている場合にはそれを対外的に明らかにするため登記できるようにすること、理事に外部の人材を必ず登用することなどを求めている。
 また理事の現行の同族制限(理事の総数にかかわりなく二人以内)に関しては、賛否両論があるとしてさらに検討が必要としている。
 監事に関しては、監査すべき範囲、内容について指針を示すことにより明確化することが必要で監査を支援する観点から監事に対して理事長等から定期的に学校法人の運営状況に関する情報提供などが必要としている。監査の範囲に関しては、財務分野のほか学部・学科の新増設や教育・研究における重点分野の決定、学生等の募集計画等教学的な面についても対象とすることが必要で、監査の内容としては、予算決定や中長期計画の策定に対する意見陳述、外部監査で指摘された事項の改善状況等の確認が考えられるとしている。
 評議員に関しては理事会の諮問機関との位置づけが原則で、評議員会の議決が必要な場合であっても、学校法人の最終的な責任・権限は理事会にあることを明らかにする必要があるとしている。
 財務情報の公開を法的に義務付けることに関しては、補助金の交付の有無にかかわらず、幼稚園法人等小規模法人も含め全法人を公開の対象とすることが適当としている。ただし小規模法人等への配慮の必要性については引き続き検討する。
 公開を義務付ける財務書類については、財産目録、貸借対照表、収支計算書(資金収支計算書、消費収支計算書)、資金収支内訳表、消費収支内訳表とすることが適当としている。またプライバシー保護の観点等から学校法人が適当ではないと判断した場合はその部分を公開しないことを認めている。
 さらに財務書類の背景となる事業の概要等を説明することを目的とした事業報告書の作成・公開を義務付けることが適当としている。
 事業報告書に盛り込む内容としては▽当該学校・学部・学科等の入学定員、学生数の状況▽役員・教職員の概要▽当該年度の事業の概要▽当該年度の主な事業の目的・計画等を例示している。
 このほか学校法人会計基準に関しても、新たな組織を設けて検討するよう提言している。
 今後は、九月上旬にかけて関係団体に対する意見照会、国民からの意見募集などを行った後、小委員会での審議を再開、十月中旬には報告書を決定する予定。
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