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記事2003年8月13日 1901号 (2面) 
構造改革特区第三次提案 文科省が見解
株式会社等への私学助成は困難
公立学校の管理運営民間委託は検討
“教育委員会廃止もできない”
  今年六月中に募集された構造改革特区の第三次提案募集では教育関係の特区構想も多数寄せられたが、文部科学省はこのほど、それら提案に対する見解を公表した。

 それによると文部科学省に関係する特区構想は七十五で、政府全体(二百八十)の約四分の一に当たる。提案内容は、大きく分けて@公立学校の管理運営の民間委託(公設民営方式)A学校の設置主体B教員免許C教育課程D教育委員会E幼児教育F大学設置基準。
 このうち公立学校の管理運営の民間委託に関しては、公立小・中・高校や公立幼稚園(保育所との一体的運営)の管理運営を、学校法人、株式会社、NPO法人等に委託できるようにしたいというもの。これに対して同省は、これらの問題については、現在、中教審で検討しており、また学校制度の根幹にかかわる論点が多数あるとして、あくまで「検討を要する」との考え。
 学校の設置主体に関しては、株式会社やNPO法人が設置する学校が焦点。具体的には、▽小・中・高校での校地校舎面積基準の緩和▽専任の養護教諭を置かなくてもよいこと▽私学助成の対象化▽大学の設置認可申請を特区法改正法の施行(平成十五年十月)以降でも可能とする▽学校の設置主体の更なる拡大(「不登校児童生徒等の教育に一定の実績のあるNPO法人」以外のNPO法人等にも拡大)が提案されている。
 このうち校地校舎面積基準に関しては、小中学校については現行制度で対応可能で、高校に関しては全国対応として設置基準の見直しを予定していること、養護教諭に関しては現行制度で対応できることを明らかにしている。一方、株式会社等の学校への私学助成については、憲法上の「公の支配」などの課題から困難で、学校設置主体の更なる拡大についても、特区法改正の際に整理済みで困難としている。
 教員免許では、特区で株式会社やNPO法人が設置する学校の教員への特別免許状に関して授与権限を都道府県教育委員会から市町村教育委員会に付与すること、欠格事由(高卒要件)の緩和等が提案されているが、同省では一定水準確保の観点等からいずれも「対応困難」としている。
 教育課程に関しては、外国の高校への留学における認定可能単位数の拡大、高校の必修科目等を長期間のインターンシップで代替することが提案されているが、同省は前者に関しては、特区で新たに特例措置を講じること、後者に関しては「構造改革特区研究開発学校制度」で対応する方針。教育委員会に関しては、地域の実情に応じて廃止できることを提案しているが、同省は教育の中立性確保等の観点から「対応困難」としている。
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