こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



全私学新聞

TOP >> バックナンバー一覧 >> 2003年8月13日号二ュース >> VIEW

記事2003年8月13日 1901号 (2面) 
不況が大学生直撃し生活圧迫
私立大学学生生活白書2003 私大連盟学生委員会
奨学金受給者が増加
実力に合う学校選択など現実的側面も
  日本私立大学連盟学生委員会(大久保桂子委員長=國學院大学文学部教授・学生部長)はこのほど、『私立大学学生生活白書二〇〇三』を発行した。学生の経済状況や充実度などを調査した結果から、学生の収入が減少し奨学金の受給者が増加するなど、不況が学生の生活にも影響しているなどと分析している。

 調査は加盟大学の改善と充実に役立てようと四年ごとに実施し、今回で十一回目。昨年十月、同連盟に加盟する百二十二校の学生にアンケートを配布し、七千三百四十九人(回収率六六・五%)から、回答を得た。大学の選択理由や経済、生活状況、正課教育、正課外活動、悩み、進路など、八分野にわたって質問している。
 調査によると、所属大学の選択理由は「自宅からの通学」や「自分の実力に合う」「自分に合う推薦入試」などが多く、大学の選び方について現実的な側面が見られた。私大としてこだわりたい「建学の精神」や「奨学金制度」「留学制度・海外研修」は学生にとって魅力となりえず、大学が考えるほど学生へのアピール度は高くないとも受けとることができる。
 学生の一カ月の総収入は八万八千五百円で、前回調査と比べ約一〇%(一万千三百円)減少。経済状況の悪化を反映し、家族からの援助や、アルバイト収入などが減少している。
 一方、学費を高いと感じる学生は八〇・八%と多く、同委員会では今後、検討する必要がある施策として、学費の減額、減免、奨学金制度の充実、学資金の貸付制度などを挙げている。
 学生生活に対する興味や意識も「友人関係や社会勉強」から「学業・資格取得」へと移行。景気低迷が就職難につながり、学生の意識にも影響を与えている。
 不安や悩みでは「就職や将来の進路」が最も多く、相談相手の約八割が「友人」。大学が設けた「学生相談室」に行くのは一・一%にとどまった。
 このうち、「友人がいない学生」でも学生相談室の利用は二・四%。学生相談室に行かず、相談する友人もなく、閉塞(へいそく)状況に陥っている学生がいることが分かる。同委員会では、こういった学生への対応が必要としている。

勉学の意欲高まる

 前回の調査と比べて目立った変化は、正課教育を学生生活の中心にとらえている学生が四割を超えたこと。さまざまな調査項目で、学生の関心が学業に移行し、勉強に対する意欲と期待が高まっている結果を示した。
 同委員会では「今日の私立大学はレジャーランドを期待されていない。充実した教育を求める学生の期待にこたえ、有為な学生生活を提供する私立大学の教育的責任はますます大きくなっている」としている。
 『私立大学学生生活白書二〇〇三』はA四判、三十七n。日本私立大学連盟監修。
記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞