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記事2003年7月23日 1899号 (1面) 
総合規制改革会議 株式会社等の教育参入など12項目首相に答申
学校への 公設民営解禁を
教育分野市場経済移行が活性化へ
株式会社への私学助成焦点
  政府の総合規制改革会議(宮内義彦議長=オリックス株式会社取締役兼代表執行役会長・グループCEO)は、七月十一日、「規制改革推進のためのアクションプラン・十二の重点検討事項に関する答申」をまとめ、同十五日、小泉首相に提出した。答申では株式会社等による学校経営の解禁等を取り上げ、少なくとも構造改革特区では(1)学校に関する「公設民営方式」の全面解禁(2)株式会社等に対する私学助成、優遇税制の適用を、また全国規模では少なくとも義務教育以外の教育分野での株式会社等の学校経営の解禁を求めている。今後、再び激しい議論が予想される。
 今回の答申は、来年三月末に同会議が設置終了期限を迎える前に、前身の規制改革委員会時代を含めて長年、実現できずにいる幼保一元化など十二項目の課題を取り上げ、関係省庁とのこれまでの折衝で実現し、先の骨太の方針第三弾に盛り込まれた成果と、なお残された課題をまとめたもの。また教育や福祉、医療等の分野を早急に市場経済に全面的に移行させ、国民や消費者の多様なニーズに的確に応え、我が国に潜在する巨大な需要と雇用を掘り起こすことが、真の意味での経済活性化につながるものとしている。
 十二項目のうち教育に関係する事項は、(1)株式会社、NPO等による学校経営の解禁(2)大学・学部・学科の設置等の自由化(3)幼稚園・保育所の一元化の三点。
 このうち株式会社、NPO法人等による学校経営の解禁に関しては、公立学校の民間への包括的な管理・運営の委託について早急に中央教育審議会で検討を開始すること、特に社会人の再教育等を進めるため通信制、定時制等の高校の公設民営方式について十五年度中に結論を得ること、株式会社等による学校経営については特区の実施状況等を速やかに評価し、検討を進めていくことになった点を成果としている。
 一方、少なくとも構造改革特区では義務教育を含めて公設民営方式をただちに解禁すべきことが課題だとしている。株式会社等への私学助成や優遇税制の適用など株式会社と学校法人との同等の競争条件確保も課題としており、株式会社が私学助成等を受けられず、授業料が高くなれば、教育サービスを受ける学生の立場からして法の下の平等、対等な競争条件を欠くものと指摘している。
 ただし今回の答申では、公立学校の学校法人への包括的管理・運営委託の推進や私立学校と公立学校の教育費の格差是正による教育活性化、財政再建効果等には全く言及していない。
 大学・学部・学科の設置等の自由化に関しては、構造改革特区では「学位・学問分野の変更を伴う学部・学科の設置等」についても許可制から届け出制に移行させること、全国規模での規制改革では大学設置に関する校地面積基準や学校法人の校地・校舎の自己所有要件撤廃を検討し、前者については遅くとも一年以内に、後者については十五年度中に結論を得て実施することを求めている。幼保一元化に関しては、少なくとも構造改革特区では両施設に関する行政の一元化、基準の統一等を、全国規模では十八年度までに検討する就学前教育・保育を一体としてとらえた総合施設に関して、施設設備、職員資格、職員配置等の規制水準を両施設の水準以下とすべきだとしている。
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