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記事2003年6月23日 1893号 (1面) 
国庫補助は廃止縮減私学助成厳しい環境 骨太の方針第3弾の原案まとまる
義務教育更に検討へ
見送られた大学設置の自由化
  政府は六月十八日に開いた経済財政諮問会議で「経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇三」の原案をまとめた。今後は与党等と調整のうえ、六月中には「骨太の方針」第三弾として閣議決定する。原案では平成十八年度までに国庫補助負担金について概ね四兆円程度の廃止・縮減が盛り込まれ、百四十五項目の国庫補助負担金等の整理合理化が提示された。この中に私学助成はないが、三位一体の改革が進む中で国庫補助金をめぐる環境が厳しさを増すのは確実な情勢だ。

 国庫補助負担金で十八年度までに見直すことになったもののうち教育関係では、(1)義務教育費国庫負担制度、教員給与の一律優遇等が挙げられている。このうち義務教育に関しては、地方の自由度を大幅に拡大する観点から、十六年度に義務教育費国庫負担制度の改革(例えば定額化・交付金化)のための具体的措置を講ずるべく検討を進めること、義務教育に係る経費負担の在り方については中央教育審議会で検討を行い、それも踏まえつつ十八年度末までに国庫負担金全額の一般財源化を検討すること、教員給与については、十六年度からの国立学校準拠制度の廃止に伴う給与体系の見直し、十八年度実施予定の公務員制度改革と歩調を合わせ見直し、能力に応じた処遇システムへの転換を検討する。
 そのほか国庫補助金全般に関しては、原則として廃止・縮減を図っていくこと、補助率の低いもの(三分の一未満)又は創設後一定期間を経過したものについては、廃止又は一般財源化などの見直しを行うとの方針。十六年度予算に関してはこうした方針に沿い削減目標を設定して廃止・縮減を推進する。
 一方、規制改革に関しては、公立学校の民間への包括的な管理・運営委託については早急に中教審で検討を開始すること、特に高校中退者を含めた社会人の再教育等のニーズに応えるため通信制・定時制等の高校の公設民営について十五年度中に結論を得ることとし、株式会社等による学校設置の全国展開に関しては当面見送る方向だ。また大学・学部・学科の設置等の弾力化では、大学の校地面積基準について特区の状況等も踏まえ全国拡大について遅くとも一年以内に結論を得ること、大学を設置する学校法人の校地・校舎の自己所有要件の緩和は十五年度中に検討、結論を得ること、学部・学科の設置認可の弾力化については、十五年度から施行された制度改正の状況等を踏まえ、今後さらに検討するとしており、全面的自由化は見送られた形だ。
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