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記事2003年6月23日 1893号 (1面) 
中教審の教育行財政部会が初会合
義務教育の在り方見直しへ
ナショナル・ミニマムなど検討
  中央教育審議会は六月十八日、東京・港区内の会館で初の教育行財政部会を開き、義務教育制度や義務教育制度に関する経費負担の在り方等の再検討に着手した。政府内で進められている財政再建や地方分権改革論議等で義務教育の見直しが求められていることから、義務教育など初等中等教育を教育制度論の観点から見直すもの。当面は、月に三回程度部会を開き、就学機会や就学時期の弾力化、義務教育の目的を踏まえた多様な学校間連携の在り方、義務教育費国庫負担制度の意義・役割などを審議することにしているが、初会合では国の責務として行う義務教育のナショナル・ミニマムとは何か検討すべきだとの意見が多く聞かれた。また国の義務教育制度の中で私立の義務教育(学校)の位置づけを検討テーマに加えてほしいとの意見も出された。
 文部科学省では同部会の委員を伴い、近く米国を訪問、株式会社等営利企業による直営学校の設置および運営の実情、株式会社等によって運営される公立学校における教育水準の担保方策、学校閉鎖等が発生した場合のセーフティーネットの実情等を視察する。
 中教審の初等中等教育分科会の下に設置されている教育行財政部会は、委員八人、臨時委員八人の構成。部会長には木村孟・大学評価・学位授与機構長が就任した。
 当面の検討課題に関しては、事務局(文部科学省)から(1)義務教育制度に係る諸制度の在り方(2)義務教育における教育条件整備の在り方(3)新しい時代にふさわしい学校の管理運営の在り方の三点が提示された。これらに関連して教員給与の在り方や教育委員会制度も検討される。
 このうち(1)では義務教育に関する制度の在り方(就学機会や就学時期の弾力化等)、義務教育の目的、目標を踏まえた多様な学校間連携の在り方(幼小、小中、中高の学校間連携等)、義務教育に接続する幼児教育の在り方を検討する。(2)では義務教育費国庫負担制度の意義・役割、義務教育制度に係る経費負担の在り方を、(3)では現在、国、地方自治体、学校法人に限定している学校設置主体を株式会社等にまで広げるかを、また学校の授業を民間企業やNPO等に委託できる範囲を、さらにコミュニティ・スクール等を検討する。
 この日の自由討議では、「義務教育を見直すに当たって、我が国の国際競争力をどのように回復させるかを忘れてはいけない」「自由化では情報公開とモニタリングがないと非常に危険。銀行以上に大変なことになる」「学校によい人材をだれが責任をもってするのかはっきりさせてほしい」「従来の制度について問題を洗い出していくこと、教育委員会が機能しない原因の根本的検討が必要だ」「教職も(募集の段階では)その他の職業との競争にさらされている。インセンティブが必要だ」「義務教育では国策として一定の担保するものがある。そこまでいじるのは問題」「これ以上譲れないという線を出すのもよい」などの意見が聞かれた。

初会合を開いた中教審の教育行財政部会

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