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記事2003年5月3日 1888号 (8面) 
ユニーク教育 (117) ―― 武庫川女子大学附属中学・高等学校
中高大の一貫教育実施
教養講座、導入教育、出張講義

上田校長

  武庫川女子大学附属中学・高等学校中高大の一貫教育実施/教養講座、導入教育、出張講義 武庫川女子大学附属中学・高等学校(上田武久校長、兵庫県西宮市)はいま、中・高・大の本格的な一貫教育を始めている。
 「本校は武庫川女子大学、同短期大学部の附属校ですが、単に附属校として高校を卒業したら武庫川女子大学に進学できるというだけではなく、実質的に充実した、大学との連携を推進しています」
 森岡秀雄副校長は一貫教育の推進理由をこう話す。
 同校では「高い知性と善美な情操と高雅な徳性とを兼ね具えた有為な女性を育成」するという立学の精神の下に、「中・高・大一貫教育」「国際理解教育」「情報教育」を特色とし、生徒一人ひとりが「礼節を重んじ、感謝や思いやりの気持ちを忘れない学校生活」を送ることができるような教育を目指している。
 なかでも「中・高・大一貫教育」は武庫川学院におけるあるべき姿をカリキュラムを含めて教育・研究のプログラムに反映すべく検討、実践している。
 現在、高校三年では「教養講座」と「導入教育」、高校二年では「出張講義」が行われている。
 「教養講座」については、高校三年の三学期になると内部推薦によって同大学への進学の内定通知をもらうが、生徒はこの時期に大学で開講される二百九ある教養講座のうちから自由に選択し、大学生に交じって学ぶことができる。ここで十時間受講すれば、大学入学後に単位として認定されるシステムになっている。
 「どの講座も好評でしたが、時代を反映しているのか心理学、福祉、女性の社会進出、カウンセリング関係の講座に希望者が多くでました」(森岡副校長)
 「導入教育」は、内定した大学の学部・学科ごとに分かれて、入学前に基本的な学力の再確認と方向付けを行うもので、大学教授と高校の教員が共同・分担して講義を行うものである。
 人間科学科の導入教育を受けた生徒の一人は、「出された課題をこなすのは大変でしたが、自分の力で調べて考えをまとめあげることの大切さに、改めて気づきました」と感想を述べている。
 高校二年で行われる「出張講義」は、生徒が将来の目的意識を明確にし、高めるために実施されている。大学で最先端の研究を行っている新進気鋭の教授陣から、現在話題になっているさまざまなトピックスについて高校の教室で講義をしてもらっている。
 「教職への道」という講義を受けた生徒は、「自分を磨くためには学内の活動だけでなく、ボランティア活動にも積極的に参加して、チャレンジ精神旺盛で人間的に魅力のある先生になるぞ! と心に決めました」と語っており、成果は着実に出ている。
 「教育は、いま一種の制度疲労状況ではないのかと危惧されていますが、逆に改革のチャンスでもあると思っています。本校は、附属校という利点を生かした改革を積極的に推進していきたい」と森岡副校長。
 同学院では「教養講座」「導入教育」「出張講義」を通して、中・高・大の連携を深め、“武庫川十年教育”の完成を目指している。

情報教育では基礎から応用まで学ぶ

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