こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



全私学新聞

TOP >> バックナンバー一覧 >> 2003年5月23日号二ュース >> VIEW

記事2003年5月23日 1889号 (6面) 
ユニーク教育 (118) ―― 羽衣学園中学・高等学校
人間尊重、個性伸ばす
一貫した理念のもとに学校行事も

西田校長

  緑鮮やかな金剛葛城連山、紀泉の山並みを一望できる高石市。この風光明(めい)媚(び)な地に羽衣学園中学校・高等学校(西田健二校長、大阪府高石市)がある。同学園は自由で明るい校風のなか、「人間尊重」「生徒一人ひとりの個性を伸ばす」という一貫した理念の下に、人間教育を実践している。
 この「人間尊重」の理念は、学校行事、授業内容、クラブ活動などに表れている。中学三年間で行われる学校行事の中で、特に一学期の演劇コンクールと、二学期の合唱コンクールは大きな行事だ。
 演劇コンクールは毎年六月に、千二百人を収容できる講堂で全学年のクラス対抗で行われる。役者をはじめ、音響担当、照明担当、進行担当、大道具担当など、クラスの全員がそれぞれ役割を分担しながら一つの舞台をつくり上げていく。
 コンクール当日まで約一カ月間、毎日のように練習を重ね、意見のぶつかり合いもあるが、二週間ほど前になるとクラス全員が一丸となると言う。四時間以上に及ぶ全クラスの発表終了後、結果が発表される。年々レベルが向上しており、生徒一人ひとりには達成感がみなぎっている。
 同校では“心のふれあい”を何よりも重視し、生徒と生徒、教師と生徒との絆(きずな)を深めるために学校行事を大切にし、その中から自立性、協調性、責任感をはぐくんでいる。
 十一月に行われる合唱コンクールも、演劇コンクールと同様に講堂で実施される。講堂には千六百四十本ものパイプが使用されているドイツ製のパイプオルガンがあり、また高品質の反響設計で出来上がっている。
 生徒たちは二週間ほど前から練習に取り掛かり、コンクールが近づくにつれて毎日、朝、昼休み、放課後とみっちり練習を行い、教師はすべてを生徒の自主性に任せている。
 コンクールでは、生徒と教師からなる審査員が審査を行い、上位三クラスを発表する。審査は合唱の出来、不出来だけではなく、ほかのクラスの発表を聞く態度も審査の対象に含まれている。
 優勝のクラスが発表される瞬間、そのクラスの生徒たちの喜びを爆発させる光景が見られる。
 だれ一人手を抜かず、発表の瞬間までやり遂げる、この姿が学校にとっても大きな財産といえる。こうした学校行事を通して、生徒たちは“心のふれあい”という貴重な体験を積んでいるのだ。
 また、中学・高校ではコース制を導入しているが、高校では生徒一人ひとりの個性を伸ばすために特進、国際、標準の三つのコースを設けている。
 「特進コース」は二年から希望進路に応じ、文系・理系に分かれ、三年からはさらに私立と国公立に分かれ、きめ細かな指導を行っている。
 博物館や美術館などを見学し、講演会に参加し視野を広げている。「国際コース」では、特に話せる、聞ける英語と、コンピュータを主眼とした授業が組まれている。高校二年の夏には二カ月以上、イギリスに留学し大学で英語の研修を受けている。「標準コース」では、一年が「なりたい自分をもとう」、二年が「なりたい自分に近づこう」、三年が「なりたい自分を実現しよう」をそれぞれ目標に置いている。
 同学園創立者の島村育人氏が生徒に贈った言葉――「あなたが本校に在学なさることは本校の名誉であります」には、教職員と生徒との“心のふれあい”を通しての信頼関係が込められている。

適切な進路指導


特進コース合宿風景

記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞