こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



全私学新聞

TOP >> バックナンバー一覧 >> 2003年4月23日号二ュース >> VIEW

記事2003年4月23日 1887号 (3面) 
中央教育審議会の審議動向
新たな留学生政策の課題提示
国際競争力の強化
日本人学生の海外留学支援
  中央教育審議会の留学生部会は四月十一日、東京・千代田区の文部科学省別館で第五回会合を開催し、前回に続き新たな留学生政策のあり方について審議した。
 前回までに委員の発言がほぼ一巡したため、この日は事務局(文科省)から「新たな留学生政策の策定にあたっての審議事項のイメージ」が提示された。この「審議事項のイメージ」は、これまでの委員の意見を基に、審議すべき事項を整理したもので、▽留学生受け入れ・派遣に係わる近年における状況の変化▽留学生政策の意義(理念)▽新たな留学生政策の策定に当たって重視すべきポイント▽具体的な政策目標と施策の展開の四要素で構成されている。このうち新たな留学生政策の策定に当たって重視すべきポイントとしては、(1)大学等における教育研究の高度化と国際競争力の強化を図るための施策の充実(2)留学生受け入れの量的拡大に対応した質的充実の重視(3)日本人学生の多様な教育、研究のニーズに応じた海外留学の支援(高校段階から大学院段階まで)を挙げている。
 また具体的政策目標と施策の展開に関しては、国際化に対応した教員、職員の採用と英語力の向上、外国人留学生のインターンシップの促進、高校留学の推進、日本人学生の海外留学が一層容易となる奨学金制度などを挙げており、同時に政策目標に関して数値目標を設定する是非も検討することにしている。
 このほか留学生受け入れについて「大学等で行われている特色ある教育カリキュラム」の資料が配付され、(1)ヤング・リーダーズ・プログラム(2)英語による特別コース(3)短期留学プログラム(4)私立大学における取り組みの四つの事例が紹介された。入学者の選考方法、教育使用言語、就学期間、産学官の連携、インターンシップ、指導教員等に特色が見られる。そのなかで、慶應義塾大学大学院の先端科学技術国際コースの英語のみの授業、立命館アジア太平洋大学の留学生受け入れ体制の概要等が紹介された。
 さらに、留学生への学位授与の現状について、四千八百五人の入学者に対して修士課程の学位取得者は七五%、博士課程の入学者二千七百八十三人中、学位取得者は五一%にとどまっているが、日本人学生と比較しても大きな差はないものの、文科系の博士課程の学位取得者が二一%という低い取得率は問題があるとの委員の指摘があった。そして、大学等の「国際化・国際競争力の強化のための短期留学の推進について、単位互換制度、コンソーシアム形式による学生交流、短期留学を支援する奨学金・助成制度などの現状と課題についての紹介があった。委員からは、短期留学の際の保険の扱いについての現状や、短期研修と短期留学の違いについての質問があった。
 また、関連資料として「文部科学省における奨学金等給付による支援制度」の現状が紹介された。これらの予算がほとんどODAの予算であり、先進国への留学生派遣ができない現状は問題があるとの委員の指摘があった。
記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞