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記事2003年3月3日 1882号 (1面) 
株式会社の教育参入で私学四団体が見解
学校の設置・運営には疑義
助成措置に国民の理解は得られぬ
  構造改革の一環として、特区での株式会社による学校の設置・運営(いわゆる教育参入)が検討されているが、日本私立短期大学協会(川並弘昭会長=聖徳大学短期大学部学長)は二月四日、また日本私立中学高等学校連合会(堀越克明会長=堀越高校長)、日本私立小学校連合会(平野吉三会長=啓明学園理事長)、全日本私立幼稚園連合会(三浦貞子会長=白ゆり幼稚園長)の三団体は、二月二十一日、株式会社による学校の設置・運営は望ましくないとする見解・意見を文部科学大臣等に提出した。(3面に意見全文)
 この問題について文部科学省は二月上旬、特区において特別なニーズがある場合には株式会社を設置主体とする特例措置を講じる方針を明らかにしているが、特区で認める学校設置をどの校種にまで広げるのか、株式会社の場合、利潤が上がらなくなった場合、学校経営からの撤退なども予想されるため、そうした事態が起こらないようどういったセーフティーネットを構築するのか、国と地方、設置主体がどう責任を分担するのかなど今後解決すべき課題は少なくない。
 今回の意見提出では、日本私立短期大学協会は、「経済の活性化のためとはいえ、営利を目的とする株式会社では学校経営の安定性・継続性には疑義がある。参入を認めることには反対」とし、「株式会社が教育分野へ参入するのであれば、まず学校法人を設立すべきで、参入を認めるならば、特区に、また校種では専門職大学院に限定すべきで、各諸法令、基準等については適用し、助成の手立てを行うことについては反対」との考えを明らかにしている。
 また日本私立中学高等学校連合会など三団体は、「株式会社が学校を設置・運営しようとするならば、自ら学校法人を設立して学校を設置運営すればよく、そうした実例も少なからずある」と指摘。「株式会社の本来の目的が営利を追求して株主への利益配当であること、安易な認定が拡大すれば、やがて原則と例外が逆転し学校教育制度自体の崩壊につながるおそれがないとはいえない」として「構造改革特区での試行であっても俄かには賛成できない」としている。
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