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記事2003年3月3日 1882号 (3面) 
2003年関西私立中学入試
少子化の中で受験者数上昇
私学志向高まる 公立の学力低下を懸念
  関西地区の二〇〇三年私立中学入試は一月中旬から行われる岡山県、滋賀県に続いて下旬には奈良県、和歌山県で行われ、京阪神が二十九日に入試を開始して、後期入試も二月五日までにほぼ終わった。
 少子化が続く中で今春の京阪神の小学校卒業生は昨年比約一・七%の減少で初めて十六万人を割るが、その中で少子化に合わせて減っていた私立中学受験者数が今春は確実に上昇に向かった。学校週五日制と新学習指導要領実施で公立中高校の学力低下が懸念されて私学志向が高まった結果である。また(1)上位難関校の倍率アップ(2)日程の短期集中化(3)二十八日以前の京阪神周辺部入試の重要性増加などの点を、日能研関西本部は今春入試の特徴として指摘している。
 京阪神の入試では上位難関校の応募者増が目立ち、特に男子にこの傾向が強かった。灘中(兵庫)は五二四↓五七三、甲陽学院(兵庫)は三六四↓三九八、大阪星光(大阪)は七五五↓八一九、洛星(京都)は四九七↓五九四といずれもアップ。最近の入試期日短期化の影響で同一日に複数校へ出願しておいて奈良県などの入試結果によって受験校を決めるダブル出願も増えているが、それを差し引いても昨年よりは大幅に増加したとみていい。関西地区で最も多くの入試が行われる一月二十九日受験者数に限ってみても、推定で昨年の一万六千二百七十人から一万七千百五十人へと五%以上増加しており、これを小学校卒業生数で割った二十九日の中学受験率は約一〇%から一一%へと上昇したことになる。
 女子では多くの学校が後期日程を前倒しする傾向がみられた。従来は二日間入試を行っていた学校が年々、二十九日単日入試に移行し、三十日に合格発表する学校も増えてきたことも前倒しの要因となっている。親和A、松蔭A、神戸海星女子(兵庫)、プール学院(大阪)、京都女子B(京都)などが二日入試から単日入試への短縮、日程繰り上げ、B日程入試廃止などによっていずれも日程を前倒しした。
 京阪神の入試集中日である一月二十九日より前には奈良、和歌山などの入試があり、従来は京阪神受験組の腕試し的な受験対象とされる傾向があったが、これら周辺県の実力向上の結果、最近では二十八日以前の入試も第二志望として実際に進学することを考えて受験するケースが増えてきて、首都圏の中学入試の千葉、埼玉と同じような傾向になってきた。

中学受験者は増加傾向

 奈良県では今春は和歌山県と日程が重なったこともあり、応募者数は帝塚山が増えた以外は昨年に比べて若干減り気味だったが、難度では例年と大きな変化はなかった。和歌山県では全体に応募者は減っているが、減ったのは昨年奈良と併願していた層であり、それを差し引いても一昨年よりは増えていて、中学受験熱はやはり高まっているとみていい。
 岡山県で特に多くの受験生を集めるのは岡山白陵、岡山中学だが、今春は両校とも特に男子で受験生が増えており、これは兵庫県西部の淳心や白陵の男子受験生の増加とも連動した現象といえる。
 広島市内の中学入試日程は全国的に珍しいシステムで、各校が日程をずらしてすべての学校が受験できるようになっている。今春を例にとると、男子校は二月一日から五日の期間に広島学院、広島工大附属、崇徳、修道、広島城北、女子校は一日から七日の間に比治山、広島工大附属、山陽女学園、広島女学院、安田女子、鈴峰女子、ノートルダム清心の順。日程は男女とも毎年入れ替わる。今春は男、女、共学とも応募者の増えた学校が多く、上位進学校志向は広島でも高まっているようだ。
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