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記事2003年3月23日 1884号 (6面) 
ユニーク教育 (116) ―― 箕面自由学園中等科・高等科
生徒に達成感もたす
知・徳・体の全人教育目標に

石井校長

  箕面自由学園中等科・高等科(石井荘治校長、大阪府豊中市)は自然に恵まれ、校内はたくさんの植物や樹木で囲まれており、草四十六科二百七十三種、樹木五十四科二百二十一種にも及んでいる。
 同学園は大正十五年に箕面学園尋常小学校として設立され、昭和二十二年に現在地に移転と同時に中等科、昭和二十六年に高等科、昭和四十年に幼稚園が設立され、現在では幼稚園から高校までを擁する総合学園となっている。以後五十年を超える歴史の中で脈々と流れているのが、「自主・自立」の精神だ。この精神の下に「教養高い社会人の育成」と「知・徳・体の調和した全人教育」を教育目標に掲げている。
 学校行事、クラブ活動、自治会活動のどれをみても「生徒が主役で、必ずといっていいほど、ひとひねりした、楽しいものにしております。そして、何よりも生徒一人ひとりに達成感を得させることが重要だと思います」と語るのは石井校長だ。
 いつも笑顔で演技をし、見る者を魅了するチアリーダー部。高等科のチアリーダー部の「JAPAN CUP2002チアリーディング日本選手権大会」の二年連続四回目の優勝を記念する報告会・祝勝会が昨年十月三十日に行われた。千人を収容できる大ホールは立ち見ができるほどの盛況だったという。この大会ではマナーのよい学校に贈られる「グッドマナー賞」も同校が獲得した。
 石井校長は「グッドマナー賞が頂けて本当に喜んでいます。本校のチアリーダー部は高校に来て始める生徒たちばかりですので、一人ひとりが技術を積み上げてきた賜物で、生徒たちの得た達成感はひとしおだと思います」と話す。
 全日本選抜優勝一回(準優勝一回)、西日本大会優勝四回、関西大会優勝一回(準優勝四回)、高校選手権優勝四回、全米選手権平成十年から三年連続出場と、同部の実績は輝かしい。
 生徒が達成感を得る場は、さまざまな場面で与えられている。中等科が実施している「山岳踏歩」はそのよい例だ。箕面を出発し、池田―宝塚―芦屋川―六甲―三宮までの六十キロメートルを三年間かけて五コースに分けて踏破しようという行事だ。この行事を行うに当たって、生徒たちは自分がどこまで歩くことができるかを考え、その目標を事前申告することにしている。その目標に達したらそこで「山岳踏歩」はその生徒にとって修了となる。
 「箕面から三宮までを歩けないからといってドロップアウトではなく、その生徒にとっての目標に到達したら『山岳踏歩』の目的は達成されたと考えるのです」(石井校長)
 また中等科で実施している「全校体育」は、週五回、一回二十五分間、柔軟・ストレッチ、連続馬跳び、片足跳び、動物歩き、片足立ち、ダッシュを行い、達成できたときの充実感やここで培われた体力が日ごろの学習の効果を高めている。
 同校の「自由」は一定の規律に基づき、その中で自分なりに考え行動することを意味するので、「教養高い社会人の育成」という教育目標にさかのぼって考え、必要最低限の校則を定めている。石井校長は「教員の指導力が問われているが、教員は生徒の達成感を持たせようと常に考えています」と話す。

笑顔で演技し、元気を与えるチアリーダー部

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