こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



全私学新聞

TOP >> バックナンバー一覧 >> 2003年2月3日号二ュース >> VIEW

記事2003年2月3日 1879号 (1面) 
株式会社の教育参入認める 文部科学省 構造改革特区提案出揃う
助成は対象外に
私学審必要、在り方を見直し
  政府の構造改革特区推進室は、一月二十日、地方公共団体や民間事業者等から一月十五日までに寄せられた「構造改革特区で実施してほしい規制改革」を公表した。第二次となる今回の特区構想募集では、政府全体で四百十二の提案主体(地方自治体二百四十八、民間事業者百六十四)が六百五十一の提案を寄せた。
 このうち教育に関しては、株式会社、NPO法人の学校設置・運営への参入や、学校設置の際の私立学校審議会に関する手続きの不要化、幼保の一元化(目的、資格、施設基準などの共通化)、教員免許に関する特例などが要望された。
 これら特区構想提案に対して所管庁は、二月三日までに「特区として対応」「全国的に対応」「特区として対応不可」「現行の規定により対応可能」「事実誤認」などの検討結果を公表したが、文部科学省は株式会社の教育参入に関しては、特区で、特別のニーズがある場合は、株式会社が学校設置主体となるよう特例措置を講じる方向で検討したいと回答した。ただし私学助成の対象としない方針。また他の非営利法人類型については、設置主体とすることは困難とし、学校法人への移行を容易にすることで対応したいとしている。また私立学校審議会に関しては私学の専門性、適正性を確保する観点から必要としたうえで、その在り方については十四年度中に見直す方針。さらに学校法人の設立要件の緩和に関しては、校地・校舎の自己所有を求めないとの特例措置を不登校生対象学校以外にも拡大することを検討すると回答している。
 具体的提案のいくつかを見ると、東京の三鷹市が、周辺に国公私立大学が多く立地していることを生かして、複数の大学の連合により大学院の設置を提案。設置主体は産官学が共同出資する株式会社が経営を行うことを想定している。
 また長野県では社団法人長野県経営者協会と共同して、民間の持つ教育ノウハウを生かすために新しい公設民営学校を可能とするため、公立学校運営を株式会社、NPO法人、学校法人等へ運営委託する新しい制度を提案している。
 岡山県教育委員会では休業日を設けない併設型中高一貫教育設置を提案している。高校では学校外の学習を積極的に認定、四学期制、幅広い授業時間帯の設定など柔軟な学習システムで自分のペースで、得意分野の才能の伸長や自己の可能性の開拓などを目指す。
 一方、民間事業者からも様々な提案が寄せされているが、解べネッセコーポレーションは、学校法人加藤学園と共同して「バイリンガル・IT教育特区」を提案している。そこでは時代のニーズに対応したバイリンガル、IT教育プログラムを全国の各形態(公立学校、私立学校、公設民営型学校、株式会社立学校)の学校に導入する考え。
 解東京リーガルマインドは、社会人にとって必要な教養と基礎知識を、単なるインターンシップやトライアル雇用と異なる、より実践的なトレーニングによって高校生に学習させるビジネスハイスクール設置特区を提案している。株式会社による学校運営、その学校に就業体験法人を併設するなどにより高校生の就職難解消を図る計画。
 また学校法人からの提案もあり、学校法人日本航空学園東京本部は日本教育相談研究所と共同して、都内で通信制併用型小中高校、私立学校における学童クラブの設置などの規制の特例を導入することにより、広域の不登校生の学校帰属を促進し、学びあう意欲の向上などを図るとしている。
 今後は、構造改革特別区域推進本部が、二月下旬をめどに構造改革特区で実施すべき事項、全国で実施すべき事項を決定し、法改正が必要なものは、構造改革特別区域法改正案として現在の通常国会に提出する方針。こうした特区構想の募集は今年も六月と十一月に募集される。

特区第2次提案における文部科学省関係特区構想

記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞