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記事2003年2月3日 1879号 (2面) 
私大における産学連携の戦略と条件テーマに
私大連盟学長会議
強い国に、私大の役割大
尾身幸次前科学技術政策担当相らがパネル討議

奥島会長

  自民党の科学技術創造立国・情報通信研究推進調査会長も務める尾身氏は、産業と研究開発の空洞化を防ぐには、産学官連携によって新産業を創出するなど、科学技術の力で再び日本を「強い国」にしなければならないと力説。国民の意識改革を図るために、大臣在任期間中からこれまで「産学官連携サミット」「地域産学官連携サミット」などの国民運動を展開してきたことを報告し、基礎研究における成果の事業化やベンチャー企業創出の促進を今後の課題として挙げた。また、スイスIMD(経営開発国際研究所)が昨年四月に発表した「世界競争力年鑑」で、「大学教育が競争経済のニーズに合っているか」という調査項目では四十九カ国・地域中、最下位であったことに言及し、とりわけ私立大学の競争力強化の必要性を指摘。その財政基盤を強化するため、十四年度税制改正では受託研究の非課税化を、十五年度税制改正ではみなし譲渡所得課税の廃止をそれぞれ実現したとし、私立大学も科学技術発展の面での戦力として参加してほしいと要請した。
 また、株式会社の教育参入についてどう考えるかというフロアの参加者からの質問に応えて尾身氏は「よい人材を育てるのに株式会社の形態で行ってどうしていけないのか。現在の学校法人と自由に競争し、どちらが成功するか結果として示すことが重要だ」と述べ、これを容認する姿勢を示した。
 同じくパネリストの中村道治・日立製作所常務・研究開発本部長は、私立大学には実学研究の深化、どういう分野でどういう人材が必要かという人材養成の適正化を期待したいとしつつも、私立大学の研究開発力は実用技術研究の先兵足り得ているかと疑問を投げ掛けた。また、大学に変革をもたらすのは学長のガバナビリティーだとし、責任感と信念を持った強いリーダーシップの発揮を求めた。さらに、大学に余力を与えるため、企業の力の積極的活用を促した。
 もう一人のパネリスト柳下和夫・日本大学大学院グローバルビジネス研究科ベンチャービジネスコース主任は、産学連携を発展させるには、ブームに乗り遅れない天の時、地の利、女性や外国人も含めた人の和に加えて、合従連衡(コーディネーター)が必要だと指摘。また、一兆円産業となる課題を百件選定するという「世界技術大賞(仮称)」を産学連携の今後の可能性として提唱した。

パネル討議では株式会社の教育参入問題も取り上げられた

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