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記事2003年2月13日 1880号 (1面) 
私学振興基本法に規定検討
第2期中央教育審議会がスタート
学校の役割など近く討議 今春答申へ最終審議
高等教育の位置付けや宗教教育なども審議
  中央教育審議会は二月四日、都内のホテルで二期目として初めての総会と基本問題部会を、続いて十日にも基本問題部会を開き、審議を続けている新しい時代にふさわしい教育基本法に関して、昨年十一月の中間報告で積み残していた前文の在り方や、現行法に追加すべき教育理念、宗教に関する教育の在り方を審議し、今春の答申に向け最終段階の審議に入った。また答申は多くの人に読んでもらえるよう中間報告を要約整理し、簡潔でわかりやすいものとすることが決まった。
 二月四日の総会では委員の互選により、鳥居泰彦・日本私立学校振興・共済事業団理事長の会長就任(再選)が決まった。
 また基本問題部会では事務局(文部科学省)から「教育基本法に関する今後の主要検討課題」が提示され、それに沿って審議が進められることになった。
 主要検討課題は大きく分けて前文、教育の基本理念、教育の機会均等、学校教育等、宗教に関する教育の五つ。
 このうち前文に関しては、基本問題部会での論議では、「一部修正すべきだ」「前文を変えることは難しいのでは」「まず教育基本法の中身を検討して足りないものがあると感じれば前文を考えればいい」など様々な意見が出され、十日現在結論は出ていない。また現行法の理念に加えるべき教育の基本理念としては、これまでの審議で指摘された(1)個人の自己実現と個性・能力の伸長、創造性の涵養(2)感性、自然や環境とのかかわり(3)社会の形成に主体的に参画する「公共」の精神、道徳心、自律心(4)日本人としてのアイデンティティー(伝統、文化の尊重、郷土や国を愛する心)と、国際性(国際社会の一員としての意識)(5)生涯学習の理念(6)時代や社会の変化に対応した教育(7)職業生活との関連の明確化(8)男女共同参画社会の実現や男女平等の促進への寄与の八つの理念が提示された。これらに関しては、(1)から(4)までを基本理念として加えるべきで、(5)から(8)は教育施策を進めるうえで配慮する事項だとの意見が聞かれた。
 また、アイデンティティーを日本語でどう表現するのか、学習する権利を規定しない方が良いのではなどの意見があったほか、男女共同参画社会の実現では、「一部にジェンダーフリーの行き過ぎが見られる」とする意見がある一方、「男女平等への寄与を前文に書いてもいいくらい」との意見も聞かれた。
 宗教に関する教育に関しては、時間がなく十分な議論はできなかったが、学識経験者の意見陳述などから、様々な宗教に関する知識を文化的な側面等を含めて、またその国の社会情勢とも絡めて学習することが望ましいのではないか、との意見が大勢を占めているようだ。宗教に関しては次回の基本問題部会(二月十七日)でも議論する。
 学校教育等に関しては、まだ議論はされていないが、具体的な学校の役割として何を規定するのか、大学など高等教育の位置づけの明確化、私学振興の重要性を踏まえて規定すること、子供は教員その他の指導に従って、規律を守り、真摯に学習に取り組む責務があることの規定の是非を検討課題としている。私立学校教育の振興が新教育基本法に規定されれば、これまでにも増して私学振興は強力な法的根拠規定を得ることになる。
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