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記事2003年2月13日 1880号 (1面) 
都道府県私学主管部課長会議 文科省開催
監査機能を強化、財務公開など検討
私学振興策の充実
  文部科学省は一月二十八日、東京・千代田区の日本私立学校振興・共済事業団九段事務所で平成十四年度二回目の都道府県私立学校主管部課長会議を開催した。
 この中で加茂川幸夫・私学部長は現在進行中の教育改革を取り上げ、制度の維持、安定に汲々とするあまり国民の期待に応えていない面がある、私学についても、期待を裏切る法人もあり、従前に比べて国民の信頼が揺らぎつつあるのではないかとし、「評価」と「公開」をキーワードに見直しを果敢に行っていく考えを強調、都道府県も同様な意識で行政に当たってほしいと要請した。
 具体的には財務情報の公開、監査機能の強化等を挙げ、法律改正も視野に入れて制度の見直しに取り組んでいきたいとした。また適正な競争環境を整備していくべきで、私立学校審議会の運営に関しては反省すべき点があるとした。さらに、今後は受益者の期待に十分応える学校が一層評価される制度の充実が必要で、それが私学全体の振興につながる。やむを得ない場合には、“退場措置”も考慮していかざるを得ないと述べた。
 しかし、評価と公開や競争性の導入の一方で、私学の自主性や主体性を最大限発揮できるよう、必要な予算措置、税制上の優遇措置等、これまで以上に私学振興に努力したいし、教育基本法の見直しで私学振興の根拠規定が盛り込まれれば、私立学校への施策充実の大きな契機となるとした。
 久保公人・私学行政課長は来年度の税制改正の概要を説明、合わせて寄付金の活用では既存の特定公益増進法人制度や私学事業団の受配者指定寄付金制度の活用について各学校法人に周知するよう要請した。構造改革特区に関しては、第一次提案分として不登校児童対象校、専門職大学院に関して、校地・校舎の借り入れによる学校設置を認めたこと、四月以降に具体的認定を行うことを説明。また学校法人の内部監査機能の強化に関しては検討を進めており、都道府県知事所管の学校法人も含め今年六月に報告をまとめると報告。

安全管理や衛生環境に配慮した補助

 栗山雅秀・私学助成課長は、昨年以上に厳しい財政状況の中で、私学助成の増額を確保したこと、経常費補助では読書活動の推進にかかわる経費を盛り込み、引き続いて学校の安全管理や衛生環境に配慮した経費を計上したこと、また外国人教員の採用事業や預かり保育推進事業の充実等を報告し、特殊教育諸学校等運営費や十五年度から更に三年間実施する予定の授業料減免事業臨時特別経費の積極的な活用の指導を要請した。さらに国の私学助成増額に沿って都道府県でも助成の充実や重点配分の強化等を要請した。
 石井稔・私学部参事官は、学校法人会計制度ができて三十年経ったことや企業会計が改正され、それに伴い公益法人の会計基準も見直しが進められていることから、学校法人会計基準についても見直しを行う予定であり、平成十六年三月までには終わらせたいとした。具体的には基本金制度のためいわゆる黒字、赤字が端的に見えにくいことなどの課題があるとした。また財務状況の公開に関しては、ガバナンス機能強化の一環として検討されているが、現在、原則一律公開を義務付けることの是非、学校の規模や校種で免除を設けることの是非、誰に、何を、どのような形で公開するかなどを検討していることを明らかにした。平成十五年六月には結論を得る予定。
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