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記事2003年2月13日 1880号 (2面) 
中央教育審議会の審議動向
家庭教育の充実要請
就労体験の大切さ強調 中根東大名誉教授
失敗、成功事例学習提唱 平山東京芸大学長
  中央教育審議会(鳥居泰彦会長)は一月二十九日、東京・港区内のホテルで第二十三回基本問題部会を開催した。この日は、中根千枝・東京大学名誉教授、平山郁夫・東京芸術大学長の有識者二人から、また全国都市教育長協議会、社団法人日本PTA全国協議会の二団体からこれからの教育の在り方や中教審の中間報告についての意見を聴取した。
 この日の基本問題部会が第一期中教審の最後の会合となった。
 意見聴取の中で、中根氏は、教育にとって外国経験の重要性を強調、特に教師は外国経験を持ち、その経験を生徒に伝えること、留学に限らず外国に出て行く制度づくりの必要性を指摘した。またボランティアや生涯学習に関して、生徒に一定期間、生産現場で働く経験をさせること、学校制度をいつでも入学できるものにし、年齢制限は廃止するよう提言。
 さらに学校現場では道徳教育よりも社会生活はどうあるべきか考えることを提案した。
 一方、平山氏は自らの被爆体験やシルクロードとの出合い、現在取り組んでいるアフガニスタンでのボランティア活動を紹介しながら、新しい教育には日本人としてのバックボーンが重要で、日本人としてのアイデンティティーや国を愛する心の育成には、まず我々の祖先の成功も失敗も含めたさまざまな事例を学びながら日本人としての誇りを涵養することが必要で、また伝統的な文化や新しい文化、外国の文化を教え比較させることが重要とした。

PTA協議会等も意見表明

 全国都市教育長協議会からは安田正信常任理事が幅広い角度から意見を述べたが、このうち教員に関しては使命感や責務の明確化、採用・研修システムを、意識改革を図れる具体的なものにしてほしいと要請した。
 日本PTA全国協議会からは赤田英博会長が家庭教育の重要性を取り上げたことに感謝したうえで、家庭は子供のしつけをし、社会生活習慣を養う場であることを訴えるなどもっと踏み込んだ記述にするよう求めた。また義務教育の規制緩和は、地方自治体や家庭の経済力や情報収集能力により格差を生み出すとし、最小限にするよう要請した。
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