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記事2003年12月3日 1918号 (2面) 
中央教育審議会の審議動向
薬学教育WGが初会合開く
修業年限6年に延長
大学院教育のあり方検討へ
  中央教育審議会大学分科会の薬学教育の改善・充実に関するワーキング・グループは十一月十九日、初めての会合を開いた。四年制の薬学教育を六年間とすることや、延長に伴う大学院教育のあり方などについて話し合うことを目的に設置し、座長には木村孟・大学評価・学位授与機構長を選任した。
 薬学教育については、これまで文部科学省主催の「薬学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議」などで検討している。同協力者会議が八月に答申した中間まとめでは、薬学教育制度には六年間が必要であるとし、その方法について▽六年制の学部教育▽四年制の学部教育に二年間の修士教育を加える――の併存を提案している。六年制学部、四年制学部プラス修士二年のどちらを採用するかは各大学の判断に任せる方針で、国立大学は四年制学部プラス修士二年、私立大学は六年制学部へと移行する場合が多いと予想される。薬剤師養成については、厚生労働省の薬剤師問題検討会でも議論しており、十月に発表した中間報告書では「六年間の学部教育が基本であるとともに、最低六ケ月程度の実務実習を行うことが必要である」としている。
 同ワーキング・グループは同協力者会議委員と大学分科会委員でつくり、薬学教育についての議論を整理する。具体的には▽大学での薬学教育の修業年限延長▽薬学教育の修業年限延長に伴う大学院教育の在り方――などについて検討する。六年制学部と、四年制学部プラス修士二年について、委員からは「学位は同じ扱いにするのか」「四年制学部プラス修士二年の場合も、薬剤師国家試験を受けることができるのか」「一つの大学が、六年制と四年制の両方を採用することは可能なのか」などの意見があった。
 現行では半月から一カ月の実務実習を六カ月に延長することについては「現状の学生規模なら受け入れ可能だが、新設の薬学部を認可した場合には難しい」「指導者の養成はどうするのか」「実習とはいえ患者と接するからには、学生に対して事前にチェックが必要だ」などの意見があった。委員は次の各氏(敬称略)。▽岸本忠三・大阪大学大学院生命機能研究科客員教授、木村孟・大学評価・学位授与機構長、黒田玲子・東京大学教授、天野郁夫・国立学校財務センター研究部長、荻上紘一・大学評価・学位授与機構教授▽専門委員=北澤京子・日経BP 日経メディカル副編集長、桐野豊・東京大学大学院薬学研究科長、佐藤登志郎・北里大学名誉教授、鈴木昭憲・秋田県立大学長、舘昭・大学評価学位授与機構教授、福田康一郎・千葉大学大学院医学研究部長、望月正隆・共立薬科大学長

大検部会も初会合
高卒学力認定試験鮮明に
試験科目や高校とのバランス討議


 中央教育審議会教育制度分科会の大学入学資格検定部会は、十一月十四日、東京・千代田区の東海大学校友会館で初会合を開き、部会長に田村哲夫委員(渋谷教育学園理事長)を選出したうえで、十月七日、河村文部科学大臣から諮問のあった、大学入学資格検定(以下、大検)について高校卒業程度の学力を認定する試験としての性格を明確にすること、また各種職業資格の受験資格として広く活用される方策の検討を始めた。この日は初会合ということから、文部科学省の芝田政之・生涯学習推進課長が大検の受験科目や受験者数、また十六歳から受検できるものの、合格の効力を発揮するのは十八歳になってからで、定時制・通信制の高校生は受検できるが、全日制の高校生は受検できないことなどを説明した。
 続いて副部会長に就任した山本恒夫委員(大学評価・学位授与機構教科研究部教授)が、自ら代表を務める「大学入学資格検定の受検者の状況等に関する研究会」が平成十三年に行った出願動機や合格者の扱いに関する調査の概要を報告した。この調査は大検出願者(無作為抽出)、自治体、企業を対象に行ったもの。それによると出願者のすべてが大学受験を目指しているわけではなく、「高卒程度の資格を得るため」との回答(合格者)が四六・四%あり、「大学に進学するため」の六六・五%に次いで高いことが分かった(複数回答)。さらに天井勝海臨時委員が校長を務める東京都立桐ヶ谷高校の、大検も含めてユニークな単位認定、不登校経験者を積極的に受け入れている取り組みなどを紹介した。このあと委員による自由討議が行われたが、「受検科目で英語を必修にしたほうがいい」「大学入試センター試験とリンクしたらどうか」「総合的な学習の時間を活かせる受検科目が必要」「高校の教育機能をすべて大検だけで見ることはできない」などの意見が出された。
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