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記事2003年12月23日 1920号 (2面) 
日本の高等教育の再構築へ
私大連盟第2回教育研究協議会
大卒者の質の保証
高大連携の視点で入試見直し
  日本私立大学連盟の教育研究委員会並びに分科会は十二月十日、東京・市ヶ谷の私学会館で平成十五年度第二回教育研究協議会「日本の高等教育の再構築へ向けて」を開いた。「大学卒業生の質の保証を考える高大連携の視点を中心として」をテーマに、大学入試制度の見直しや大学初期教育の再編などについて高大連携の視点から考えた。

 協議会は六月にも開き、二回目。第一回の協議会では、十四年度のレポート『日本の高等教育の再構築に向けてIその課題を問う』を報告し、大学教育の課題について参加者と意見を交換した。
 今回は、十五年度レポート中間まとめ『日本の高等教育の再構築へ向けてII大学卒業生の質の保証を考える高大連携の視点を中心として』を題材に開催し、加盟大学や付属高校などから約百人が出席した。高大の連携・接続という視点から、学生の卒業時点の質の保証などについて意見を交換し、解決策をまとめた。
 同研究委員会担当理事の高祖敏明・上智学院理事長はあいさつで「委員会活動の最近のキーワードは『先手必勝』『全国展開』『政策づくり』である。まず『先手必勝』は、中央教育審議会などからパブリックコメントを求められる前に勉強し、私学としての意見を蓄積しておくこと。『全国展開』は、研究会などで勉強した情報を全国の加盟校に提供し、皆さんの意見を吸収して双方向に交わること。『政策づくり』とは、文部科学省の審議会などは国立大学を念頭に置いて進めることが多い。委員会では私学としての立場、意見を国の文教政策に取り込んでもらうように考えている」などと述べた。
 全体討議は中間まとめの▽入試改革=入学生の質の問題▽入学時の質の保証から卒業時の質の保証へ▽学生の達成度評価とミニマム・リクァイアメントの標準化▽大学初期教育課程の再編と入学前教育=リメディアル教育からの転換▽学部教育の改革と教員の意識改革という五つのテーマに沿って行った。
 このうち、卒業時の質の保証については、松本亮三・東海大学学長室長・文学部教授が報告。「大学は選ばれた人間を教育する場ではなく、『選ばれる』人間を教育する場となった」と発想を転換し、これまでの「入学定員」から「卒業定員」への改革を提案した。
 松本氏は「『卒業定員』とは、基準に満たない学生を卒業させないという大学教育の厳格化である。それとともに、定員数は完全に教育するという大学の責務を明確化するものである」などと説明した。
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