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記事2003年12月23日 1920号 (2面) 
厳しい収入の減少 魅力づくりで経費削減もできず 
私学事業団が「今日の私学財政」まとめる
  日本私立学校振興・共済事業団(鳥居泰彦理事長)はこのほど、平成十五年度版の『今日の私学財政』をまとめた。この報告書は大学、短期大学、高校について平成十四年度を中心に過去五年間の法人、学校の財務状況をまとめたもの。それによると大学法人、短大法人の消費収支では帰属収入の減少が続いているものの、魅力づくりなどから消費支出の削減が進まず、経営の余裕が縮小、高校法人では帰属収入に占める消費支出の比率が十四年度に九六・八%に低下したことが分かった。

 大学法人、短大法人、高校法人の財務状況の概要は次の通り。
 ▽大学法人=財政状況では一法人当たりの資産規模は前年に引き続き縮小した。ただし減少幅は前年比〇・〇三%減とわずか。土地・建物等の有形固定資産は十年度以降、五八%台で変わらないが、流動資産(現金など)は減少、その他の固定資産が増加した。長期的視野で流動資産をその他の固定資産(教育研究の設備投資のための引当特定資産など)に回しているためと思われる。総負債比率(総負債/総資産)は五年で一八・九%から一六・六%に低下、財政の健全度は増していた。
 一方、消費収支では帰属収入の減少が続き、消費支出の削減が進んでいないという状況で、消費支出比率(消費支出/帰属収入)はこの五年間に八七・三%から九一・九%へと低下した。基本金組み入れ額も減少傾向。
 ▽短期大学法人=財政状況をみると、一法人当たりの資産規模は縮小傾向だが、縮小幅は小さい。有形固定資産の構成比率が上昇傾向を示し、資金の流動性は徐々に低下しつつあり、十年度以降続いていた負債の減少傾向が十三年度以降止まった状態。消費収支では帰属収入が十三年度に比べて微増したが、これは特定の法人の影響。収入では学納金、補助金とも減少傾向。支出では人件費の圧縮が続いているが、教育研究経費・管理経費は十四年度に増加に転じた。消費支出全体では低下傾向が続いているが、帰属収入の落ち込みに追いつけない状態。
 ▽高校法人=一法人当たりの資産規模は漸増傾向を続けており、その一方で負債の減少も続いている。体力のあるうちに借金を返しておこうとの思いなのか、守りの経営に変化せざるを得ない状況とも言える。
 消費収支では、一法人当たりの帰属収入はこの五年間、何とか横ばいを維持している。生徒数は減っているが、学納金、補助金が踏みとどまった結果、帰属収入の減少を押しとどめた格好だ。その一方で教育研究経費、管理経費は教育改革への対応や魅力づくりが求められている中で増加傾向にあり、人件費は横ばい状態。
 帰属収入に占める消費支出の比率は十二年度の九三・六%以降、悪化を続け、十四年度は九六・八%となった。
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