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全私学新聞

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記事2003年12月23日 1920号 (3面) 
広域通信制高校問題解決を 全審連が文科省等に要請へ
私学審の在り方討議
酒井会長の再選も決める
大分で総会

酒井会長

  全国私立学校審議会連合会(酒井A会長=東京女子学院理事長)は、十二月四・五の両日、大分市内で総会を開き、広域通信制高校の設置認可や私学審議会の在り方など私学行政が当面する課題等について討議した。広域通信制問題では一部の学校が教育活動の大半を外部のサポート校に“丸投げ”している実態等が報告され、文部科学省に根本的解決を求めていくことを確認。教育特区については複数の委員が、国民的な議論のないままに成果を急ぐのは問題と指摘した。(近く詳報)

 全審連は各都道府県の私立学校審議会(私立学校設置等に関する知事の諮問機関)の委員で組織する団体。総会では平成十五年度の事業計画や収支予算等を決めたほか、平成十六・十七年度の会長の選出が行われ、酒井会長の“続投”が決まった。また私立学校や私学行政が当面している課題をめぐり三つの専門部会に分かれて情報交換や意見交換等が行われた。
 このうち小・中・高校をめぐる問題を検討した専門部会では、広域通信制高校の問題のほか、私立学校審議会委員の公募、私立学校審議会委員の構成等、私立学校審議会の見直しと構造改革特区における株式会社等の教育分野への参入問題が取り上げられた。
 通信制高校問題に関しては、広域のため設置認可を受けた都道府県以外の都道府県ではその実態が分からず、指導できないという問題があるほか、通信制高校生の学習を支援する学習施設であるサポート校(高校のような名称を使用)主導が問題を複雑化している、との指摘もあった。
 通信制高校の生徒もかつての勤労学生から今では不登校生、高校中退者が中心と大きな変化を見せている。そのため同審議会では文部科学省に「高等学校通信教育規程」の見直しを再三要請してきたが、改正には至っていない。都道府県にもこの問題への積極的対応を要請、一部の自治体では動きがあるものの、引き続き同省に対して改善を求めていく方針。
 サポート校問題は中央教育審議会でも今月の大検部会で一部委員が、通信制高校とサポート校の両校に入学するため学費負担が大きく、一部には不適正な運営も見られることを指摘、複数の委員が高校中退者らに対する行政の支援強化の必要性を指摘した。全審連でもサポート校の授業料は平均で百万円、最も高い学校では百八十万円にも達し、それに本来の通信制高校の授業料を負担している実情も報告された。
 一方、私学審議会に関しては各都道府県の委員構成が報告されたほか、委員公募の是非などが検討されたが、専門的な見地から意見を述べる委員に公募はふさわしくないとの意見が多く聞かれた。また教育特区に関しては岡山県御津町での株式会社の教育参入の実態が報告されたが、負債の比率が基準より高く、私立学校としては認可されなかった学校が株式会社立で認可を受けるのは教育的に問題が多いとする意見が聞かれた。
 このほか専修学校については校地・校舎の所有の認可基準などが検討され、各種学校の場合、例外的に借用としているケースや今後、借用でも可能となるよう検討が進められている事例などが報告された。また幼稚園に関しては定員認可の実情や幼稚園設置学校法人による保育所の設置等に関する対応状況などが報告された。
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