こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



全私学新聞

TOP >> バックナンバー一覧 >> 2003年12月23日号二ュース >> VIEW

記事2003年12月23日 1920号 (3面) 
中央教育審議会の審議動向
【幼児教育部会】
新時代の幼児教育
幼保一体化、幼小連携で意見


 中央教育審議会初等中等教育分科会の幼児教育部会(部会長=田村哲夫・学校法人渋谷教育学園理事長、渋谷幕張中学・高等学校長)は十二月一日に第三回、十二日には第四回の部会を都内の会場で開いた。同部会で検討すべき課題に「幼児教育と小学校の接続」「良好な教育環境の確保」などを決め、有識者からの意見を聴取した。
 第三回部会では文部科学省が今後の部会を進めるうえでの検討すべき課題を挙げた。これまでの議論で提出された「子どもの生活と遊びの場の喪失」「幼稚園教育の固有化」「豊かな学びは豊かな遊びから」「教員の資質と待遇、資格、研修」「親と子の育ちの場としての幼稚園」などの委員の意見をもとに▽新しい時代における幼児教育の意義及び期待される役割▽新しい時代における幼児教育を実現するための方策――の二つの大きなテーマを提示し、同部会で了承した。
 具体的には▽幼児の育ちの現状や幼児を取り巻く社会環境の変化等による問題点を踏まえ、幼児教育の課題について明らかにする▽長時間保育に対応した教育の在り方▽幼稚園における子育て支援▽幼稚園における持続的な改善を促す仕組み――などを検討する。
 委員からは幼小連携について「議論や実践で公立幼稚園が先行し、私立は取り残されている。教育委員会を中心に公私を通じた連携が必要」などの意見があった。
 幼保連携については「子どもの教育という観点を優先して議論を行う必要がある」「親は預けるだけでなく幼児教育にもっとかかわるべきだ」「子どもの成長とは、自立していくことでもある。自立の手がかりを与えるはずの幼児教育で、もっと面倒を見てほしいという要望には疑問だ」などと指摘した。ほかに「幼小連携や幼保一体化などの取り組みについて、全国の教育委員会でも議論、実践すれば効果もあり、教育委員会も活性化する」など地方行政への要望があった。
 また、有識者として秋田喜代美・東京大学大学院教育学研究科助教授、浅田匡・早稲田大学人間科学部助教授の意見を聴取した。
 十二日は、前回に続いて有識者を招いて、幼児教育への理解を深めた。小川博久・日本女子大学家政学部児童学科教授、汐見稔幸・東京大学大学院教育学研究科教授が、幼児教育の在り方についての研究を発表した。


【大学入学資格検定部会】
新試験の性格等討議
高校への影響が焦点の一つ


 中央教育審議会の教育制度分科会大学入学資格検定部会(部会長=田村哲夫・渋谷教育学園理事長)は十二月九日、第二回会合を、同十五日、第三回会合を、いずれも東京・虎ノ門の文部科学省分館で開催した。
 このうち第二回会合では二人の大検受験者から現在の大検制度で改善すべき点などについて意見を聴取した。この中で大検受験者は合格するため予備校に通い、経済的に苦しかったことなどを報告した。
 この後、委員からは「高校の中途退学者を考えると十三万人程度の受験人口があるが、実際は二万から三万人。もう少し受験者があってもいい。受けやすい制度が必要だ」「高校中退者が行政の支援の網からこぼれている。勉強する場合に支援の場があってもいい」等の意見が聞かれた。
 第三回会合では、文部科学省からこれまでの審議で出された意見を論点ごとに整理した資料が提出された。その中では、(1)新試験の性格=高卒程度の学力認定にとどめるのか、高卒資格を付与するのか、大学入学のための試験とするのか(大学入試センター試験との関係)(2)新試験の科目、水準について(3)現在受験が認められていない全日制高校生をどう扱うか(4)社会的認知度を上げるための方策(5)新試験の実施体制を論点として挙げている。その後、これら論点を中心に五人の委員が意見を発表したが、新試験の性格については、職業生活への接続を容易にするよう高卒資格の認定とすべきだ、高校と大検がもっと競争すべきだ、といった意見と、高卒資格の付与なら高校制度の否定につながる、高卒程度の学力認定にとどめた方がいいという意見があり、また高卒資格の付与の場合は、総合的な学習的要素(ボランティア活動等)を認定の要件に加えるべきだとの意見が聞かれた。同部会は来年三月末までに検討結果をまとめる。
記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞