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記事2003年11月3日 1913号 (1面) 
茨城で第51回全国私学教育研究集会 中高教員と父母ら1200人が参加
明日の教育求め伝統と創造テーマに
先人の教えに学び 教育の発展へ
国民の期待に応え改善策討議
  第五十一回「全国私学教育研究集会」(茨城大会)が十月二十九日から三日間、茨城県水戸市の茨城県立県民文化センターを主会場に開かれ、私学関係者に父母ら合わせて千二百人が参加した。「明日の私学教育を求めて――伝統と創造」を研究主題とした今年の大会では、学校経営など八部会が開かれたが、主会場となった水戸市が「水戸学」発祥の地ということもあって、かつての藩校や寺子屋での教育や偉人の教育論の報告も交えてこれからの私学教育の在り方を研究協議した。(近く詳報)

 この大会は、財団法人私学研修福祉会が主催し、関東地区私立中学高等学校協議会、茨城県私学協会が実施、日本私立中学高等学校連合会、茨城県、水戸市、土浦市が後援、財団法人日本私学教育研究所が協力した。
 このうち初日の開会式では、財団法人日本私学教育研究所の堀越克明・理事長が関係者を代表してあいさつしたが、これまでには考えられない速いテンポで教育改革が進められている中で、もう一度、教育の健全な発展を考え直す時期だと強調、先人の教えや各私立学校の奮起に大きな期待を表明した。開会式には橋本昌・茨城県知事も出席、私学教育への強い期待を明らかにした。また初日に行われた記念講演では、芳賀綏・東京工業大学名誉教授が「歴史に学ぶ人づくりの原点」と題して、歴史に名を残した人物の受けた教育や行った教育、いかに人との出会いが才能を花開かせたかなどを紹介し、教育の再建のためには生徒たちに自分よりも優れた人物や歴史を見させることの重要性を強調。教師は生徒に心を閉ざさず、心を見せること、厳父、慈父、厳母、慈母など教師にはさまざまな人がいて、学校や社会を形成していること、これからの教育には私学の先導が必要で、その意味では建学の精神をじっくり考えてほしいと、私学教員のこれからの頑張りに大きな期待を寄せた。
 二日目からは学校経営、教育課程、生徒指導など八つの部会に分かれて三日目の午前中にかけて研究協議が行われた。
 このうち学校経営部会では、菅原亮芳・高崎商科大学教授が「日本の教育の伝統に学ぶ――私塾・寺子屋・藩校」と題して、近世に行われていた教育の実態を報告した。それによると寺子屋では地域の地理学習や詣(もう)でのための道案内、証文の読み方などだまされないための教育などを行っており、教育は教師対生徒の一対一が基本で、授業料も登校時間も自由だったという。こうしたことから今の学生はなぜ労働から解放されているのか、なぜ昼に学ぶのか、画一授業など現代の教育の疑問点を提示、教師には学識の厚みを求めた。

開会式の冒頭、あいさつする堀越・日私教研理事長

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