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記事2003年11月3日 1913号 (12面) 
ユニーク教育 (121) ―― 中村女子高等学校
看護科・高等看護専攻科 役に立つ教育実践
入学させたら卒業させる

桂校長

  中村女子高等学校(桂雄三校長、山口県山口市)は日本女子教育の先駆者、中村ユス氏によって慶応三年に裁縫教育を行うために創立された。校訓は「質実」「敬愛」「勤勉」。
 現在では、普通科、情報ビジネス科、看護科・高等看護専攻科、介護福祉科・介護福祉専攻科、調理科を置く総合学園となっている。目標の一つ「入学させたら卒業させる」教育指導体制を徹底させている。この方針はすべての科で貫かれている。
 五科のうち、とりわけ看護科・高等看護専攻科および介護福祉科・介護福祉専攻科は「特色ある、将来役に立つ教育を実践していると、県内でも高い評価を受けている」(中野靖子教頭)。
 看護科・高等看護専攻科は看護のスペシャリストとして、専門知識を身につけるため五年の一貫教育を行い、全員が看護師免許の取得を目指している。五年一貫教育を行っているのは、山口県の私学では同校だけだ。
 従来の看護師養成システムでは、衛生看護科三年間を修了すれば準看の資格試験を受ける資格を取れていた。さらに専攻科二年間を修了すると、看護師の資格取得のための国家試験を受験できるようになっていた。
 しかし、医療技術の高度化に伴い、看護師に一層高度な知識・技術が求められるようになり、これに対応するために、五年間じっくりかけて看護師としての実力を身につける必要が生じたのに伴い、準看の資格試験合格の基準が高くなった。それに対応するために高校三年間の授業時間が大幅に増え、一日六時間の授業では、授業時間数が不足することとなった。そのための基準をクリアするには、一日七時間授業の実施や、夏休み期間を利用して授業をすることが必要になってくる。
 同校ではこのような事情を考慮し、平成十四年度から、五年間でじっくりと看護師としての力を養成する五年一貫制を導入したことにより、看護科三年プラス高等看護科二年を修了した時点で、全員看護師の国家試験を受験する。このときに、準看の試験を受ける資格も取得できる。一学年定員は四十人だが、志願者は多い。
 一年では基礎看護、看護基礎医学、看護臨床医学、二年では成人・老人看護、看護臨床実習、母子看護などを学び、三年では看護臨床実習など実習の時間が多くなる。
 一方、同県では初めて介護福祉科・介護福祉専攻科が同様に設けられた。高校三年を修了すると、全員ホームヘルパー(訪問介護員)一級をはじめ、介護福祉士国家試験の受験資格を取得できる。さらに、二年制の専攻科に進み修了すれば、介護福祉士の資格が無試験で取得できる。
 同校では二年生から校外で実習が始まるが、この経験は生徒たちにとってはかけがいのない経験となっている。特に、特別養護老人ホームなどでの実習は、介護福祉士としての資格取得に欠かせない貴重な体験となっているようだ。
 また、調理科は平成十二年に設置された同校では最も新しい科で、同県で調理科を持つ高校は二校しかない。三年を修了すると、調理師免許を取得できる。さらに短期大学や四年制大学に進学し、栄養士免許などを目指す生徒も増えている。調理実習も月一回程度行われており、市内のホテルなどで調理に当たっている調理師に講義をしてもらっている。

より深い技術と知識を身につける介護福祉教育

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