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記事2003年11月13日 1915号 (1面) 
私学助成との整合性が問題
教育行財政部会
学校の管理運営検討
分野により民間委託容認の声も
  中央教育審議会初等中等教育分科会の教育行財政部会(木村孟部会長=大学評価・学位授与機構長)は、十一月七日、東京・霞が関の文部科学省別館で第十一回会合を開き、喫緊の課題となっている(1)地域が参画する新しいタイプの学校運営の在り方(2)公立学校の管理運営の包括的な委託(公設民営方式の導入)――について検討した。公立学校の民間委託については、芸術や英才教育等の分野では包括的な委託も考えられるといった意見があった半面、義務教育については民間に委託する積極的な理由が見当たらない、との意見が複数聞かれた。

 また新しいタイプの学校運営のあり方については、地域学校協議会と校長と教育委員会とが権限と責任をどう分担するのかが焦点で、評価やモニタリングの遅れから実施後の混乱を懸念する意見も聞かれた。校長等の権限をどこまで地域学校協議会に移すか、民間委託の対象校種をどこまで広げるかなどの方針はまだ固まっていない。十一月下旬の次回会合からは「中間報告」の原案の検討を始め、年内にまとめる予定。
 この日の部会では始めに事務局(文部科学省)から、過去の委員等の意見を整理した「検討メモ」、「学校の運営形態として想定しうる例」(公立・私立)、コミュニティー・スクールや管理運営を委託した学校に関する「評価の想定観点例」などが提示された。このうち運営形態の想定例では、公立の場合、▽一般的な公立学校▽教育活動の一部について外部資源・サービスを活用する学校▽地域が権限と責任を持って学校運営に参画するコミュニティー・スクール▽教育活動を含めて管理運営を民間の受託機関が行う学校の四つを提示。
 一方、私学の場合は、▽一般的な私立学校▽地方自治体が、廃校になった公立学校の施設設備等を学校法人に貸与し、当該学校法人が私立学校を運営する「公私協力型私立学校施設等提供方式」▽地方公共団体が学校法人等と協力して、新たな学校法人を設置し、当該学校法人が私立学校を運営する「公私協力私立学校共同出資方式」の三タイプを挙げた。
 仮に株式会社等が公立並みの運営費をもらい管理運営の委託を受けた場合は、私立学校との調整などが課題となる。
 また想定される評価観点例では、コミュニティー・スクールで、学校が行う自己評価に加えて▽学校運営協議会が保護者や地域住民の代表として適切に機能しているか▽関係当事者の関心度・満足度▽教育委員会規則で定める事項の遵(じゅん)守(しゅ)状況などを、管理運営の委託では、▽教育活動が適切に行われているか▽教育成果▽経費支出の適切さ▽教員等学校スタッフの状況等――を挙げている。
 このほか構造改革特区での株式会社による学校設置の進(しん)捗(ちょく)状況が報告され、万一、訴訟問題が発生した場合、設置者の株式会社にとどまらず“後見人”の地方自治体にまで問題が及ぶことを懸念する意見も聞かれた。
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