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記事2003年11月13日 1519号 (2面) 
私大の教育・研究充実に関する研究会大学の部
私学研修福祉会
大学評価や経営戦略
学位授与機構にも問題提起
  財団法人私学研修福祉会(P在幸安理事長=日本大学総長)は十月二十九、三十の両日、東京・市ヶ谷の私学会館で第二十六回私立大学の教育・研究充実に関する研究会(大学の部)を開いた。講演会やシンポジウム、グループディスカッションなどを行い、第三者評価や教員の職分と権利、経営コストなどを考えた。
     ◇
 同研究会は私大が「建学の精神」に基づいて特色を発揮し、教育や研究の質の充実を図る方策を探ることを目的に年一回開いている。今年は「私立大学の教育・研究の質的向上について私立大学の経営戦略Part.1」を研究課題に行い、私大の学長や学部長、学校法人の理事長、常勤理事など約二百七十人が出席した。昨年度を八十人ほど上回る参加者があり、教育や経営への関心の高まりを表した。
 初めに、P在理事長はあいさつで「世界の大学は改革への道をたくましく歩んでいる。日本の大学も第三者評価や改革を進めなければ、東洋の孤島となるだろう。私学が一団となって、改革への道を歩むことが大切だ」と述べた。続いて、基調講演では佐藤東洋士氏(桜美林大学理事長・学長、日本私立大学協会基準問題検討委員会委員)と、清成忠男氏(法政大学総長、大学基準協会長)が第三者評価について話した。
 このうち、清成氏は「私立大学と第三者評価のあり方」について講演し、海外の状況と国内の第三者評価機関について話した。清成氏は「アメリカは問題が起こると、アソシエーション(自律的な団体)を設立して解決にあたった歴史がある。そのような伝統のない日本で、ボランティアに依存した第三者評価はどこまで可能なのか。大学評価・学位授与機構のあり方にも疑問がある」と問題を提起。評価機関のあり方として▽民間の機関である▽独立性、中立性を保持▽独自の質的基準を持つことなどを挙げた。
 また、株式会社の参入や、届け出での設置認可などについて「変な学校には学生は入学しないという市場重視の意見がある。しかし、人の命を守る医療や教育などの分野では経済的規制は消えても社会的規制はありえる。被害者は誰か、という視点が必要だ。大学の質の保証をどうするかは、もう少し社会にアピールしてもよい課題だ」とした。
 基調講演のあとは、栗田健氏(明治大学総長)の司会で、ディスカッションと質疑応答を行い、具体的に議論を進めた。
 二日目は、「私立大学の経営戦略」をテーマにしたシンポジウムで、佐伯弘治氏(流通経済大学学園長)をコーディネーターに、石川洋美氏(芝浦工業大学前理事長・教授)、加茂川幸夫氏(文部科学省高等教育局私学部長)が発表。午後は生涯学習などを主題にしたグループディスカッションを行い、さらに検討を深めた。
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