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記事2003年10月23日 1910号 (8面) 
トップインタビュー 教育はこれでよいのか
セコム株式会社取締役最高顧問 創業者 飯田 亮氏
積極的に真正面から取り組む人
教師の資質が重要 使命感をもち 子供があこがれる教師に


  セコム株式会社の創業者で、取締役最高顧問の飯田亮氏は「今の学校の教師は、子供を叱(しか)ることに対して、非常に怖がっていると思います。叱るというエネルギーの出し惜しみをしているのです。教師としてやるべきことをやっていないのです。子供が成長して、後に叱られたことがいい思い出となる場合もあるのです」と自らの体験を踏まえ、教師について厳しい見方をしている。
 飯田氏は昭和三十七年に日本で初めての警備保障事業を興し、以来この業界では常にトップの座を保っている。顧客に「安全」を提供するセキュリティー・ビジネスは、社員のモラルが高くなければならない。
 飯田氏は創業から四年ほどたった時期が厳しかったと述べている。会社にとってマイナスとなるさまざまな事件が続いたからだ。
 しかし、これらの事件を教訓に社員の研修に力を入れるようになったことが、今日の成長のカギとなっているのだ。
 「学校では教師の資質が重要な問題です。教師には次の世代を担う子供を育てているという使命感が必要で、学校の現場ではこの点の評価をきっちりするべきです。そして、教師は研さんを積んでほしいと思います。日本の教育について、欠けているのはこの点ではないですか」
 飯田氏が考える教師の質について話す。
 「次代を担う子供たちを育てるという使命感を持つとともに、子供たちが教師にあこがれるような人間になってほしいのです。そのためには、教師は幅広く勉強する必要があります」
 例えば、学校でトラブルが発生した場合、学校や教師は他人事のような対応をし、家庭の責任とすることがある。学校も教師もさらに勉強して「常識的に物事を考えるべきだ」と言い切る。
 これからの企業が目指す人材像は。
 「一つは、企業においては、いろいろなことに興味を持ち積極的に取り組むことができる人です。こういう人は自分の人生を幸せだと思う人です」
 教育についても同じ発想だ。教育の現場で、何事にもアグレッシブな気持ちで対応する教師を評価するべきだと言う。
 「もう一つは、真正面から考え、物事に取り組むことができる人」を挙げる。
 飯田氏のいう積極的に取り組むことのできる人、あるいは真正面から考えることができる人については、そのベースとなっているのは「正しいことが通用する社会」であることが必要だとする。
 セキュリティー・ビジネスは信頼関係で成り立っている。この信頼関係が成立しているからこそ、顧客である家庭や企業は安心してカギを警備会社に預けられるのだ。
 「学校も保護者、子供との信頼関係をきっちりと築いていく必要があると思います。私学だから学費は高額になりがちです。しかし、学校が高い学費に見合う教育をし、私学だからこそ発揮できる特徴をどんどん出していけば信頼関係は構築できると思います」
 「競争がなければいいものが生まれない」と持論を展開する飯田氏は、「“競争とディスクロージャー(内容公開)”は一番大事だと思います。これは私学にとってもいいことです。子供のためにしっかりした教育をし、健全な経営をしたところが最後に残っていくはずです」と自らの人生哲学を語る。
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