文部科学省の平成十五年度予算案が昨年十二月二十四日に閣議決定したが、そのうち私学関係予算の詳細がこのほど明らかになった。（１２月２３日号で一部既報）同省私学部私学助成課が所管する私学関係予算の総額は四千四百九十一億二千万円で前年度に比べ〇・八％の増額。施設整備関係の予算が減額したものの、私立大学等、私立高校等の両経常費補助金は政府の厳しい財政事情の中で前年度に比べ合わせて四十四億円増を確保するなど私学教育振興の重要性を反映した予算となった。
　私学の両経常費補助金は、昨年十二月二十日の財務省原案内示の段階では、ともに前年度に比べ二％の減額査定だった。しかし私学関係者や文教関係議員らの要望する中、二日後の大臣折衝では百二十七億五千万円が復活、私立大学等経常費補助金は前年度に比べ〇・六％増の三千二百十七億五千万円、私立高等学校等経常費助成費補助金は同二・五％増の一千一億五千万円となった。特に私立高校等は一千億円台到達が悲願だっただけに私学関係者も目標達成を喜んでいる。
　このうち私立大学等経常費補助金の内訳は、一般補助が二千二百五億四千九百万円（前年度に比べ〇・九％減）、特別補助が三百三十七億二千万円（同三・一％増）、私立大学教育研究高度化推進特別補助が六百七十四億八千百万円（同四・七％増）。
　この私立大学教育研究高度化推進特別補助は、世界水準の私立大学づくりを目指す観点から意欲と可能性に富んだ私立大学へ重点支援するもので、前年度からの実施。文部科学省の直接助成。一般補助、特別補助は日本私立学校振興・共済事業団を通しての助成となる。
　私立大学教育研究高度化推進特別補助では、（１）専門職大学院等支援経費（２）特許化推進経費（３）特色教育拠点大学支援経費（４）教育研究情報利用経費の四つの新規事業が盛り込まれている。（１）は今年四月から誕生する専門職大学院等を支援するもの。（２）は私立大学の特許申請費用を援助して特許取得を促すもの。（３）は国公私立等を通じて特色ある教育活動を行う拠点的な大学を支援する「特色ある教育活動支援プログラム」（新規予算）に選定された私立の大学、短大に補助金を重点配分するもの。（４）は国内外の電子ジャーナル等の利用を支援するもの。
　また特別補助には（１）地域貢献特別支援事業の新規事業が盛り込まれた。文字通り私大等の地域貢献を促進するもの。
　そのほか既存の事業では、私立大学教育研究高度化推進特別補助のハイテク・フロンティア等経費や教育学習方法等支援経費の予算の伸びが大きい。
　一方、私立高等学校等経常費助成費補助金の内訳は、一般補助の一般分が七百八十八億六千万円（前年度に比べ〇・一％増）、一般補助の特別分が百十六億六千七百万円（同一五・九％増）、特別補助が九十六億二千三百万円（同八・一％増）。
　このうち一般補助の一般分では新たに読書活動推進のための経費や教室内のホルムアルデヒドなど有害物質の検査に要する経費が単価の中に措置された。
　一般補助の特別分では引き続きコンピュータ整備及びインターネット接続の推進、ＩＴ教育人材の育成・高度化、少人数教育等きめ細かな学習指導の推進、教員の能力開発及び資質の向上、体験学習の推進を促す補助項目があり、いずれも予算の増額を図っている。
　特別補助では、教育改革推進特別経費の伸び（前年度に比べ一八・二％増）が目立つ。
　この中では預かり保育推進事業、幼稚園の子育て支援活動推進の予算の伸びが大きい。また授業料減免事業臨時特別経費が十五年度も継続されることになった。予算額は三億円。今後三年間実施の計画。
　このほか高校等では施設の高機能化のための補助として二十億六百万円、ＩＴ教育設備整備の予算として十億七千五百万円が計上されている。