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記事2003年1月3日 1877号 (1面)
現物寄付みなし譲渡所得非課税に 学法の経営基盤強化へ
平成十五年度の文部科学省関係税制改正が昨年末に確定した。 このうち私学関係の改正では、学校法人への現物寄付に係る「みなし譲渡所得」課税制度が見直されることになった。詳細は今後、財務省で決められるが、これまで、一般の者(個人)が私立大学等へ現物(土地、建物、株式等)を寄付し、それが所得税上非課税となるには国税庁長官の承認手続きが必要だった。なかには承認までに二、三年もかかるケースもあったが、今回の改正で、寄付を受ける学校法人が現物寄付を学校法人会計上の基本金に組み入れれば、承認申請から一カ月後、自動的に非課税と承認されたものとみなすことになった。しかもこれまでに比べ申請書類が大幅に削減される予定だ。 また寄付財産の売却額を基本金に組み入れる場合には、寄付財産の売却もできることになり、寄付を有効活用することが可能となった。 こうしたことにより寄付による外部資金の導入が促進され、私立大学等の経営基盤の強化と教育研究活動の活性化が図られる効果が期待できる。 みなし譲渡所得課税制度の見直しと並んで、私学関係者の期待が大きかった学校法人に対する企業の寄付金の損金参入に係る限度額の撤廃(法人税)、個人寄付者の所得控除限度額の拡大及び控除除外額の廃止(所得税)の実施は見送られ、長期検討課題となった。ただし日本私立学校振興・共済事業団を通じた受配者指定寄付については、利便性を高めるため寄付総額に占める一社当たりの上限額(二分の一)の撤廃、経常的経費に関する募集期間の一年から二年への延長が行われる予定。 このほか教育関係ではインターナショナルスクールの設置を主たる目的とする学校法人(準学校法人)を特定公益増進法人に追加することになった。これにより法人税上で損金に参入できる額、所得税上で控除額とできる額が大幅に増えることになり、民間からの寄付を受け入れやすい環境が整うことになる。また個人立の専修学校の相続税に係る非課税措置の創設は、実現せず、今後の検討課題となった。 |
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