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記事2003年1月23日 1878号 (1面) 
学力向上アクションプラン 予算を3.5倍に拡大
学力低下への国民の不安解消へ 文科省が対策
教員志望学生を補助指導員に 絶対評価の信頼向上も
平成15年度
  文部科学省は平成十五年度、総額で約四十九億円に上る「学力向上アクションプラン」を実施する。国民の間に依然として学力低下への不安が根強いことなどから、学力の向上策を一体的に推進し、新教育課程のねらいを実現するとともに、公教育の質を格段に向上させるのが目的。予算額は、前年度の三・五倍にも上る額だ。

 学力向上アクションプランは、大きく分けて、(1)個に応じた指導の充実(2)学習意欲や学力の質の向上(3)個性・能力の伸長(4)英語力・国語力の増強からなっている。
 このうち(1)の個に応じた指導の充実では、新たに「学力向上フロンティアハイスクール事業」「放課後学習チューターの配置等に係る調査研究」「学習指導カウンセラー派遣事業(自己点検・自己評価支援)」「新しい評価の普及・定着」を実施する。

学習指導の自己点検
評価の取り組み支援


 このうち学力向上フロンティアハイスクール事業は、全国の推進校(二十地域に各十校を指定)を核に、学習意欲・学力の向上に取り組み、その成果を全国の学校に普及させるもので、予算額は二億十八万五千円。
 また放課後学習チューターの配置等は、教員志望者を放課後学習チューターとして配置して、各教科等の教員と協力しつつ、個々の子供の学習相談にきめ細かく対応すると同時に、教員養成系大学等と連携するなどして、意欲・情熱を持った人材を活用し、将来の教員としての資質・能力をも向上させるシステムを構築する。四十七地域の各六校で実施する。予算額は二億六千七百八十九万六千円。
 学習指導カウンセラー派遣事業は、各学校における学習指導の自己点検・自己評価の取り組みを支援するため、指定校(四十七地域に各三校)に大学の研究者等の専門家を派遣して、指導方法等の改善を図るもので、指定校における児童生徒の学力分析の支援(学力調査問題の作成支援等)や各都道府県内の指定校の成果の取りまとめと普及などを行う。予算額は一億五百十一万九千円。
 新しい評価の普及・定着は、学習指導要領に示す目標に準拠した評価(絶対評価)の信頼性を高めるとともに、国民の絶対評価に対する懸念を払拭するのが目的。具体的には評価に関するパンフレットの作成・配布、評価規準の作成や評価方法の工夫改善に関する教員向け研修プログラムの開発、地域内の各学校、教育委員会、教育センター等が連携・協力し、評価の客観性、信頼性を高めるための総合的な取り組み、高校段階における学力評価や学力水準の実態把握方法の在り方等についての調査研究、高校入試での調査書の客観性・信頼性の向上等を行う。予算額は一億七百十七万五千円。
 (2)の学習意欲や学力の質の向上は、「総合的な学習の時間」推進事業、学習意欲向上のための総合的戦略、理科大すきスクールを新たに新年度から実施する。このうち総合的な学習に関しては、モデル校(十地域で各十校指定)での実践研究、NPO等外部人材を活用しての実践研究、各学校の参考となる学習プログラムの開発等が主な内容。
 学習意欲向上のための総合的戦略では、児童生徒の学習意欲を高めるため、「その道の達人」(仮称)派遣事業、学習意欲を高めるための教材、指導方法等の収集・提供、学習内容と日常生活との関連性についての研究、「学びんピック」(仮称)の開催などを行う。
 (3)の個性・能力の伸長では、スーパーサイエンスハイスクール事業(※十四年度は二十校を指定)に関して、十五年度は予算額を前年度比六三・一%増額、四十五校に増やす。またスーパー・イングリッシュ・ランゲージ・ハイスクール(※同十六校)は十五年度に予算額を前年度比二・九倍に増額し指定校を五十校とする。両事業とも段階的に指定校を百校までに拡大するのが目標。
 (4)の英語力・国語力の増進では新たに高校生の留学促進、国語指導力向上講座の開催・国語力向上モデル事業等を実施する。
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