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記事2003年1月23日 1878号 (1面) 
日短協・短大基準協 短大の地域総合科学科説明会開く
新たな展開に期待


  特定の分野に限定せず、地域の多様な学習ニーズに柔軟に対応することを目的にした、短期大学の「地域総合科学科」がこの四月から三校で開設されるが、日本私立短期大学協会(川並弘昭会長=聖徳大学理事長・学長)と短期大学基準協会(川並弘昭会長)は一月二十日、東京・市ケ谷の私学会館で「短期大学の地域総合科学科に関する説明会」を開催した。地域総合科学科への改組転換を図ることで、新しい短大教育の展開が可能になるとの期待もあって、全国から約二百三十人の短大教職員が参加、関心の高さを示した。
 開会に当たってあいさつに立った川並会長は「大学としての短期高等教育が存在意義を発揮しなければならない。(地域総合科学科のスタートで)短大の活性化を図っていきたい」などと述べた。続いて山内昭人・香蘭女子短期大学理事長が地域総合科学科についての「趣旨説明」を行った。山内理事長は地域総合科学科を、これまで日短協で議論してきたことの一つの「到達点」を示すものであり、アメリカのコミュニティカレッジの存在を強く意識したものだと位置づけた。
 地域総合科学科の特徴としては、複数の学問分野を多彩な授業科目で展開していくことだと指摘。学科としての教育の特徴をどう生かしていくのか、どれだけ魅力的な履修モデルを提供できるかがカギだとした。
 また、地域総合科学科は社会人を受け入れ、生涯学習への展開を目指すものだとしつつも、日本の私立短大の場合、あくまでも十八歳人口の入学者層を基本に据えて、そのうえで社会人をどう膨らませていくかを考えていくべきだとした。香蘭女子短期大学が開設する「ライフプランニング総合学科」についても言及。従来の大学側が学生にカリキュラムを提供する「定食方式」から、学生が自分のカリキュラムを選択できる「バイキング方式」へと変更したことが同学科の基本コンセプトだと指摘した。今後は、カリキュラムの見直しを常に行っていきたいとし、地域総合科学科は、努力と工夫次第で短大の可能性を見つけ得るものだとした。
 事例発表は、四月から地域総合科学科を開設する、北海道浅井学園大学短期大学部(人間総合学科)、広島文化短期大学(コミュニティ生活学科)、香蘭女子短期大学(ライフプランニング総合学科)の三校の担当者が行い、各学科の改組転換に至るまでのプロセス、新学科のカリキュラムの概念、教育内容、新学科設置のメリット、新学科への志願状況が報告された。「学生は幅広い科目が選択でき、多様な能力や資質を身につけられる」(北海道浅井学園大学短期大学部)、「地域の多様なニーズに柔軟に対応できる」(広島文化短期大学)、「多様化する高校生のニーズに応えやすい」(香蘭女子短期大学)など、新学科のメリットを指摘する報告が相次いだ。「設置基準上の専任教員数が下がり、多彩な非常勤教員の拡充を図ることが可能になる」(北海道浅井学園大学短期大学部)と、経営的にもメリットがあるという指摘もあった。三学科とも既に入学定員に迫る志願者を確保しているとの報告もあり、受験生の評価も高いことを印象づけた。
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