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記事2003年1月23日 1878号 (7面) 
専門学校における自己点検・評価
専修学校教育振興会が調査
卒業生の88%に専門士の称号 86%が関連分野で就職
教員の企業研修等は今後の課題
  財団法人専修学校教育振興会(大森厚理事長)は、このほど「専門学校における自己点検・評価に関する調査報告書」をまとめた。それによるとインターンシップは普及しているものの、教員の企業研修や企業社員の委託研修は今後の課題といえることなどが分かった。専修学校等には自己点検・評価の実施が努力義務として課されている。


 この調査は、同振興会の調査委員会(座長=倉内史郎・東洋大学名誉教授)が昨年一月から二月にかけて実施したもの。調査対象は、全国学校法人立専門学校協会の会員校(千四百九十一校)で、回答校は二百九十九校。

T 自己点検
 (1)入学定員に対する志願倍率は全体で一一六%。医療系は三・二倍と群を抜いて高かった。入学充足率は全体で七二%、その中では医療系が一〇四・四%と最も高かった。次いで教育・社会福祉が九一・五%、衛生が七三・一%などの順。
 (2)サンプルとした二百九十九校の中途退学者数は五千五百七十一人。そのうちの七二・三%までが一年生だった。入学者数に対して一年生の段階で中途退学する者の比率は八・八%。中途退学した理由は、「進路指導」が全体の四九・五%と最も多く、「経済的理由」とした者は一二・三%だった。専門士の称号は、卒業者の八八・一%が授与されており、農業系では九九・七%、医療系では九九・〇%が称号を手にしている。就職状況に関しては、就職者の八六%が専門関連分野に就職しており、医療、教育・社会福祉分野ではその比率が九四・六%にも上った。
 (3)教員の採用に関しては、常勤、非常勤とも「企業経験者」が最多。次いで常勤では「専門学校卒」、非常勤では「大学(院)・短大卒」が多かった。
 (4)財務状況に関しては、帰属収支差額がマイナスの学校が全体の一七%あったが、六割の学校はプラス一〇%以上の収支差額を得ていた。人件費比率が五〇%以上の学校が五五%を占め、残る四五%は人件費比率が五〇%を下回っていた。
 (5)点検結果の公表については、おおむね公表できるとする意見と公表できないとする意見が半々との状態だった。特に公表不可が多かったのは財務関連項目だった。

U 自己評価
 産学連携に関しては、学生のインターンシップは普及してきているものの、教員の「企業研修」や企業社員の「委託研修」は今後の課題となっていた。また卒業・資格取得に関しては、両者とも「比較的良好以上」との回答が七割を超えた。学生の就職状況については、七割を超える学校が「比較的良好以上」と答え、卒業生に対する就職先からの評価では、八割に迫る学校が「比較的良好以上」と回答していた。
 社会人教育に関しては、再就職促進のための委託訓練については、「ほぼ適切以上」が四五%に対して、「やや不適切以下」が二七%だった。教育訓練給付制度の指定講座については「ほぼ適切以上」が三一%だったのに対して、「やや不適切以下」が四二%を数えた。
 こうした自己点検・評価に関しては、「意義を確認しその推進を心がけたい」「自己点検・評価の具体的着眼点が分かった」「点検・評価の様式例がほしい」「答えにくい項目が多かった」との回答が比較的多かった。
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