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記事2002年9月23日 1860号 (1面) 
学生の生きる力でパネル討議
メンタリティー等中心に
日短協就職研修会
日本私立短期大学協会(川並弘昭会長=聖徳大学短期大学部理事長・学長)は九月九日から三日間、札幌市中央区の札幌ガーデンパレスで「平成十四年度私立短大就職担当者研修会」を開催した。学生たちの就職希望率の減少と無業者の増加などが社会問題化する中、学生たちを取り巻く状況、学生たちのメンタリティーにも目を向ける必要があるとして、研修会三日目には「学生の生きる力をどう育てるか」と題するパネルディスカッションが開かれた。
 パネリストとして栗坪良樹・青山学院女子短期大学教授、橋本良信・共立女子短期大学就職進路統括課長、近藤章雄・湘北短期大学キャリアサポート課長、安田猛・関西外国語大学短期大学部就職部事務部長が参加。コーディネーターは吉田圀雄・名古屋女子大学短期大学部就職課長が務めた。
 栗坪教授は大学進学率が横ばいから下降をたどっていることを挙げ「私たちは〈皮算用〉をしすぎてきた。数の論理はしょせん数の論理にすぎない」と指摘。初等中等教育で児童・生徒の教育が困難をきわめている現実があるとして、高等教育では学生のメンタリティーを考える必要があるとした。また、ある企業の人事担当者から、自分の〈ことば〉を持った学生を送ってほしいとの要請を受けたエピソードを紹介し、ここ数年は学生たちに「自分の〈ことば〉を持っているか」と問い続けてきた、と述べた。安田氏はマスのガイダンスより、あまり就職部に来ない学生への働きかけに力を入れているとし、橋本氏もマス的に話すばかりではなく、職員の側から足を運び、学生が何を求めているか考えることが重要だと強調。近藤氏は学生たちの成長に寄り添いつつ、支援していくことの必要性を指摘した。
 学生とどう向き合うかという課題については、橋本氏は学生が何を訴えたいのかをどう捉えるかがカギだと指摘。近藤氏は学生に〈べき論〉は通じないとして、学生とともに〈漂う〉ことから始めたいと述べた。安田氏は職員自らが自分をさらけ出し、できるだけ同じ立場に立って考えるようにすべきだとした。栗坪教授はこうした発言を受けて「学生との関係を〈美談〉に終わらせてはいけない」と指摘。最近は家庭で手を掛けられ過ぎて育ってきた学生が多いとし、学生にいまどういう時代、社会に生きているのか、何らかの形で〈世界〉の構造を知らしめることが必要だ、と述べた。
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