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記事2002年9月13日 1859号 (1面) 
義務教育国庫負担4年で5千億削減
経済財政諮問会議で遠山文科相が改革案
異論相次ぎ10月再度審議へ
塩川財務相私学寄付金税制改善検討を約束
 小泉純一郎首相の諮問機関である「経済財政諮問会議」は、八月二十八日から三日間、政府の歳出改革について集中審議を行った。七月に首相から義務教育費国庫負担の見直しなど四つの“宿題”を出された遠山敦子・文部科学大臣らが改革案を発表し、それについて審議した。
 遠山文科相は八月三十日、(1)義務教育費国庫負担制度の見直し(2)国立大学の非公務員型法人への早期移行(3)大学に関する規制改革の推進(4)研究開発プロジェクトの見直しと科学技術システムの改革の改革案を発表した。
 このうち義務教育費国庫負担制度に関しては、最大限の見直しを行う考えを明らかにしたものの、義務教育の水準確保という制度の根幹は保持する考えを強調した。
 具体的には、(1)国庫負担対象経費を国が真に負担すべきものに限定することによって、平成十五年度から十八年度までの四年間に五千億円を目途に段階的に縮減する(共済長期給付と児童手当等が二千三百億円、退職手当が二千四百億円、その他)(2)公立学校教員の給与について、現在の国立学校準拠制度を平成十六年度に廃止して、各都道府県に自主決定権を付与する。可能なものについては十五年度から都道府県の裁量権を拡大し、国庫負担は、一定の限度額の範囲内で各都道府県が実際に支出する額に応じて負担する(3)新たに市町村が市町村費により、都道府県の定める定数を超えて教職員を配置できるようにする。また指定都市に関しては、新たに教職員定数や給与負担についての権限と責任を都道府県並みに拡大する、などの改革案を明らかにした。
 これに対して片山虎之助・総務大臣をはじめ同会議の複数の委員から、「義務教育の性格そのものを抜本的に見直す必要があるのではないか。特に、負担金を国が払うという制度そのものの意義を、今後どう考えていったらいいのか、抜本的に考えてほしい」などの意見が相次いだほか、塩川正十郎・財務大臣から教育委員会制度の抜本的見直しを求める意見も出された。
 義務教育の改革案については、さらに見直しの必要性を指摘する意見が強かったことから、論点を整理したうえで十月にも再度議論することになった。同省では義務教育国庫負担金の具体的削減プランの検討を進める。
 また小泉首相からは、「親が失業、リストラ、倒産等になった場合の制度をしっかり維持する必要がある。緊急採用奨学金といった制度をしっかり知らせてほしい」との注文があり、また「大学の授業料を賄える程度にすることも視野に入れて重点配分を考えてほしい」(竹中平蔵・経済財政担当大臣)との意見が出され、遠山大臣が検討することになった。また義務教育の見直しに絡んで竹中大臣は私立小学校の新規参入の仕組み等も議論の対象になるとの考えを示した。
 このほか尾身幸次・科学技術政策担当大臣は、「税制面で私立大学がもっとお金を集めやすいようにしないといけない」と指摘。
 これに対して塩川大臣は「私学に対する寄付関連税制の是正は考える」との考えを示した。
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