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記事2002年9月13日 1859号 (2面) 
園芸療法教育担当者研修会
全国大学短大実務教育協
園芸療法士の称号設置
札幌国際大短大部の取り組み報告

和野内会長

全国大学・短期大学実務教育協会(和野内崇弘会長=札幌国際大学理事長・学長)は八月三十、三十一の両日、札幌市清田区の札幌国際大学短期大学部で「園芸療法教育を担当する教職員の研修会」を開催した。同協会では今年四月から新たに、園芸を通じて心身に障害を持つ人々の援助などに当たることなどを目的とする「園芸療法士」の称号を設置した。研修会には、この称号を申請または申請予定の大学・短大の教員らが参加した。
 初日、開会に当たって和野内会長は「高度に発達した社会では心の有り様の問題が問われ、精神に働きかける分野が必要とされる。皆さんには高等教育における園芸療法の先覚者、指導者としてこの分野の普及にご活躍いただきたい。協会では、全国の大学・短大で実務的な社会の役に立つ教育の領域を開いていきたい」とあいさつした。
 園芸療法士の称号とその意義について、島名正英・愛知女子短期大学教授が講演。島名氏は、高齢者や障害を持つ人々、社会的に不利な立場にある人々の心のゆとり、心の質(quality)に焦点を当てた、専門的知識と技能とを提供する称号が園芸療法士であると説明。心のケア、生活の質が注目され始めたわが国でも、病院や福祉施設、学校、地域社会で期待される分野であり、園芸を通じて、心身に何らかの障害を持つ人々の機能回復や症状の改善を援助し、日常生活の中でも人々の不安や緊張の緩和を促進することのできる人材を育成していくことには意義があるとした。
 現在、札幌国際大学短期大学部では総合生活学科園芸療法コースと社会人を対象としたオープンカレッジで園芸療法講座を開講しており、同大学の神尾和正・教務部長はそれぞれの受講状況などを紹介。特に今春から開設したオープンカレッジの講座には、看護師や保育士、訪問介護員の資格を持つ人など受講者が約三十人集まり、称号取得に向けて熱心に受講していると報告した。また、甲子園短期大学の永野明範講師は同短大での園芸実習の実例を紹介した。あらかじめ実習計画を立て、植物の分類・栽培・利用・文化など植物について調査、その日の作業内容と意味とを把握した上で実習を行っていること、調理実習や食品学など関連科目との連携にも目配りして取り組んでいることなどを述べた。札幌国際大学の長谷部牧子講師は講座の一部を担当している「園芸療法論」について紹介。あらゆる療法に共通のプロセスを、(1)評価(2)目標の設定(3)介入(4)効果判定(再評価)だとし、特に評価については相手を「観察」することの重要性を強調した。

研修会2日目に行われた園芸実習
(札幌国際大学のイネーブルガーデン)

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