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記事2002年9月13日 1859号 (2面) 
個に応じた指導充実で確かな学力を育成
学力向上アクションプランに77億 今年度の5倍強 文科省が要求
放課後学習チューター新設
絶対評価のPR推進
 国民の間に学力低下への懸念が広がる中、文部科学省は来年度、予算額にして前年度比五倍強の「学力向上アクションプラン」を実施する。現在、そのための予算として約七十七億二千四百万円を財務省に要求している。
 同アクションプランは、(1)個に応じた指導の充実(2)学習意欲や学力の質の向上(3)個性・能力の伸長(4)英語力・国語力の増進の四つの事業グループからなっており、個に応じた指導の充実では、十四年度から始めた「学力向上フロンティア事業」の実施校(十四年度は約八百五十校)を来年度は約千七百校に拡充する。この事業は全国のフロンティアスクールを核に、個に応じた指導の充実を図り、その成果の普及を通して確かな学力を育成する、というもの。また来年度からはこれまでの小・中学校に加えて高校版の「学力向上フロンティアハイスクール事業」を開始する。全国二十地域、二百校程度で事業を展開する計画。
 このほか新規事業では、教員志望者等を「放課後学習チューター」として学校に配置して子供の学習相談にきめ細かく対応し、同時に将来の教員としての資質・能力を向上させるという「放課後学習チューターの配置等に係る調査研究」(予算額約五億円)(四十七地域×六校)を、また各学校における学習指導の自己点検・自己評価の取り組みを支援するため、指定校に大学の研究者等の専門家を派遣して指導方法の改善を図る「学習指導カウンセラー派遣事業」(予算額一億二千万円)(四十七地域×三校)を、さらに絶対評価の信頼性を高めると共に、保護者をはじめとする国民の懸念を払拭する「新しい評価の普及・定着」事業(予算額約二億二百万円)を実施する予定。教員の指導力を向上させるための教師用モデル授業教材の開発(予算額千四百万円)も新規に行う。
 学習意欲や学力の質の向上に関しては、各学校における「総合的な学習の時間」をより充実したものとするため、新たにモデル校における実践研究を、またNPO等を活用した外部人材導入のあり方についての実践研究などを行う。(予算額約三億円)さらに「学習意欲向上のための総合的戦略」(新規事業)(予算額約十億円)として、学ぶことの楽しさを伝えることに長けた外部人材を学校に派遣し、授業を行ってもらう「その道の達人(仮称)派遣事業」(全国三百校程度)や、子供たちが、各教科及び総合的な学習の時間において培ったさまざまな力を各部門別に競い合い、優秀者(グループ)を表彰する「学びんピック」(仮称)の開催、資格・検定で優れた成績を残した学校を表彰する事業等を行う。このほか全国二百校程度で新たに「理科大好きスクール」を展開する。
 個性・能力の伸長では「スーパーサイエンスハイスクール」の予算を二倍強に、「スーパー・イングリッシュ・ランゲージ・ハイスクール」の予算を四倍弱に拡充する。
 英語力・国語力の増進では、英語教員の研修、高校生の留学促進などを進める。
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