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全私学新聞

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記事2002年8月3日 号 (1面) 
経常費補助拡大を 教育予算の先行き尚不透明
全私連が15年度の予算等で文科相らに要請
授業料軽減事業へ補助
評価期間基盤整備に支援も
 私学団体の会長らは七月二十六日、文部科学省に遠山敦子大臣や小野元之事務次官らを訪ね、平成十五年度私立学校関係政府予算の拡充や、税制改正で学校法人に対する寄付金に係る損金参入限度額の拡大等を求める要望書を手渡した。平成十五年度の概算要求基準は八月七日にも策定される見通しだが、私学助成環境は依然厳しいとの見方がある半面、教育が構造改革の重点支援分野になっていることから期待感もあるが、義務教育費国庫負担制度の見直しも予定されるなど教育予算は先行き不透明な状況だ。
 今回の私学団体代表による要請は、幼稚園から大学までの私学団体で組織する全私学連合(奥島孝康代表=早稲田大学総長)として要望したもの。
 私学関係予算要望のうち、大学関係では補助金の中核を占める「私立大学等経常費補助金」について(1)大学院等の充実を図り、社会人の受け入れに対する補助の増額(2)研究機能強化のため私立大学教育研究高度化推進特別補助の増額(3)多元的評価支援経費の増額(4)専門(職)大学院の支援に対する特別補助の大幅増額(5)十六年度開設予定の法科大学院への別枠支援強化策等を要望している。
 このほか施設・設備関係補助では、私立大学・大学院等教育研究装置施設整備費補助にインセンティブが働くよう補助率の充実などを、私立大学等研究設備整備費等補助金に関しては、情報処理関係設備の補助率充実等を、私立学校施設高度化推進事業費補助(利子助成)では助成対象範囲の拡大等を求めている。
 このほか成績優秀者には返還を免除するなどインセンティブが働く奨学金制度の創設、第三者評価機関基盤整備への新規支援等を要望している。
 高校等関係では、都道府県において経常的経費の二分の一助成が実現するよう私立高校等経常費助成費補助金の拡充強化を要望しているほか、新たに全都道府県で実施されている授業料等軽減補助事業に対する国の補助制度創設を求めている。同補助金が、現在、六倍近い学費の公私間格差の是正に効果を上げることを期待している。また施設高機能化、IT教育設備整備等のための補助金の拡充強化や私立高校生への奨学金の拡充、公立学校に準じて私立学校教員についても十年経験者研修実施のための補助金の創設を要望している。
 幼稚園関係では、経常費助成費補助金の特段の増額、子育て支援事業に対する特別補助の充実、就園奨励費補助金の拡充、などを求めている。
 このほか私学事業団、私学研修福祉会の要望事項も掲載している。
 一方、税制改革に関しては、(1)学校法人への現物(土地、建物など)寄付に係る「みなし譲渡所得」課税の廃止(2)学校法人に対する寄付金に係る損金算入限度額・所得控除限度額の拡大等(3)学校法人の資産運用収益に対する非課税措置の維持など現行優遇税制の維持(4)教育費負担軽減の観点から税制上の適切な配慮を要望している。


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