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記事2002年7月3日 号 (2面) 
教育振興基本計画の在り方討議
重点的な施策例提示
中教審・基本問題部会
 中央教育審議会の基本問題部会は六月二十五日、東京・半蔵門のグランドアーク半蔵門で第十一回部会を開き、教育振興基本計画の在り方について討議した。文部科学省(中教審事務局)から同部会における教育振興基本計画に関するこれまでの議論の概要、および当面、重点的に実施すべきと考えられる施策の例を列挙した資料(3面に掲載)が提示され、これを基に話し合った。委員からは基本計画の改革の方向性を確かなものにするために財政計画も併せてつくるべきだとの意見が出たほか、教員の評価システム確立などをめぐって議論が行われた。  「議論の概要」では教育振興基本計画策定に際しての基本的考え方として、▽国民一人ひとりが生涯を通じ学ぶ生涯学習社会実現の観点から、学校教育、社会教育等の施策を見直す▽十年後の社会の姿を見通し、今後、五年間において重点的に取り組むべき分野、施策を明確化するとした。そのうえで、当面、重点的に実施すべきだと考えられる施策の例として、初等中等教育関係では十年経験者研修の義務化、教員の評価制度の確立と給与・処遇への反映、全校での自己点検評価の実施、結果の公表と外部評価の導入などを指摘。高等教育では国立大学法人化への積極的取り組み、評価システムの育成・整備による質の向上などを挙げている。  こうした施策例について委員からは「急いで行政施策に反映してほしい」「数量化した財政措置も併せて講じるべきだ。臨教審の提言には財政措置がなかったから失敗した」といった意見が出た。一方で財政措置の必要性については「個別要求の積み上げが大変で不可能ではないか。財政当局に立ち入るような施策は出せない。ただし、国に責任を持たせることは必要だ」とする意見も出た。  教員の評価制度の確立をめぐっても議論が行われた。「優秀な教員を高く評価する一方で、そうでない教員も何か努力すれば復活できる“敗者復活”のシステムが必要ではないか」「百数十万人の教員が使命感にあふれるなどということはありえない。平均的な教員を評価するシステムをつくることの方が重要ではないか」などと、優秀な教員を評価するだけでは不十分だとする意見が複数の委員から出た。  このほか大学関係の委員からは、多くの大学が学生確保に苦慮しているとし「大半の大学が自らが生き延びることだけに頭を使っている。“知の拠点”どころではない。行政が手を打つべきことが見えるようにしてほしい」とする意見もあった。
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