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記事2002年7月3日 号 (8面) 
都私学教育振興会
新学習指導要領での評価の注意点
「個性を生かす教育活動」に対応した評価観
学ぶ力、学ぼうとする力が大切  東京家政学院中学・高校長佐野金吾氏
 東京都私立学校教育振興会(加納弘理事長)はこのほど東京家政学院中学・高等学校(東京都千代田区)で平成十三年度第二回主任者研修会を実施した。「新学習指導要領での評価の注意点」と題して、同校の佐野金吾校長が特に中学校を中心に新教育課程の下での評価などについて解説を行った。  佐野校長は学習指導要領の示す目標・内容については「児童・生徒だれでもが身につけていなければならないもの最低規準」とした上で、学習指導要領の求める学力については「生徒に生きる力をはぐくむことを目指し、創意工夫を生かし特色ある教育活動を展開する中で、自ら学び自ら考える力の育成を図るとともに、基礎的・基本的な内容の確実な定着を図り、個性を生かす教育に努めなければならない」(新学習指導要領総則)と説明。  その中で、「児童・生徒一人ひとりの『個性を生かす教育活動』に対応した評価観が、教育課程審議会の答申(平成十二年十二月)の狙いである」と、学習指導要領の改定の趣旨を説明した。  児童・生徒一人ひとりがどのような目標を持ち、学力を身につけるかが問題で、佐野校長は「学力には知識・技能といった『学んだ力』だけではなく、これに関心、意欲、判断などの態度といった『学ぶ力、学ぼうとする力』も含まれるようになる」と解説した。  また、評価については、従来は成績をつけて渡す行為と見られていたが、「反省と改善」「確認と調整」「目標の達成」という視点から、「評価・は生徒、保護者、教師が納得する内容・方法によって行う必要がある」と強調した。  指導要録の取り扱いについては、(1)観点別学習状況の評価(2)評定―の二つとし、(1)については「各教科の学習状況について、目標ごと、観点ごとに目標に照らして評価する」とし、(2)についてはいわゆる相対評価から「各教科の目標・内容に照らして学習の習得状況を総括的に評価する『絶対的評価』に変わった」と、評価観の変化に言及した。  この絶対的評価とは、従来行ってきたグループの中での位置付けを行うという集団に準拠した評価(相対評価)ではなく、児童・生徒一人ひとりの目標に準拠した評価を行うことだ。いままでの相対評価ではグループの中でどのくらいのところにいるかは分かるが、どのような力がついたのか分からないし、またこれからの評価は児童・生徒や保護者が納得のいく内容・方法によって行い、その評価情報が児童・生徒一人ひとりにとっても納得のいくものとすることが重要となるからだ。  佐野校長はこの絶対評価によると、中学では「目標をおおむね達成されたと判断されるもの」は「3」とし、「十分満足できると判断」「特に優れていると判断」される場合はそれ以上の評価が行われるという。  佐野校長は「普段からいかに児童・生徒一人ひとりに向けた授業をしているかということが大事で、テスト、観察、面接、作品ノート、レポート、質問紙などから評価情報を集めておく必要がある」と示唆した。


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