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記事2002年7月3日 号 (9面) 
新校長インタビュー (59) ―― 開成中学校・高等学校
校長 芳野 俊彦氏
信頼関係で結ばれる“人核教育”
基礎教育の根本は知、心、体


 開成中学校・高等学校(東京都荒川区)は創立百三十一年の伝統を持つが、四月に校長に就任した芳野俊彦校長は同校の卒業生でもある。同校の伝統的校風として、(1)質実剛健(2)自由な精神(3)向学心―の三つを挙げた。  「教師と生徒、生徒同士が表面的な人間関係ではなく、お互いが信頼関係で結ばれているのが本校の特徴ですが、その中心は一人ひとりが“核”として結ばれていると思うのです。私はそれを『人核教育』と呼んでいます。中学・高校という精神的に柔軟な時期にしっかり行う必要があります」  人核教育を行う上で基礎教育は欠かせない。基礎教育の積み重ねの必要性を説く。基礎教育の根本的な要素として、(1)知(2)心(3)体を挙げるが、「教師の側は物事の本質、原理・原則を教え、生徒の側からすれば個性を見つけるところから出発します」と芳野校長は説明する。  「知」の部分については、「物事を論理的に考え、自分で納得し、自分の言葉で表現できる能力を、幅広い科目の学習を通して養います」と生徒の主体的な学習姿勢を重視する。  「心」の部分については、「挑戦力、勇気、たくましさを必要とするとともに、弱者を守るやさしさも必要です。この二つを同居させることができる大きな心をもつ人間であることが大事なのです」と芳野校長。  同校は企画から実施に至るまで生徒が携わる学園行事が多い。五月に行われる開成名物の運動会と定期競漕大会、九十年の歴史を持つ開成マラソン、高校二年で実施される修学旅行などはそのいい例だ。生徒主体の運営がパワーの根源となっているといっていい。中でも運動会にかける情熱や思い入れは同校の伝統的なものだ。  「本校の運動会の特徴は競技の激しさと運営の自主性にあります。棒倒しは伝統的な競技として引き継がれています」  けが防止のためのルール改定に生徒が真剣に取り組んだ。  「教育の問題は中学・高校の六年間を通して長期的にみることが大事です。中高一貫教育のメリットはここにあると思います。学校教育は人生での助走期間で、問題は社会に出てからです。教育の効果は社会に出てから現れるものです」
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