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記事2002年7月23日 号 (1面) 
株式会社の教育参入
中間とりまとめ、12月にも答申 総合規制改革会議
財政援助の道を
文科省は利益優先を危惧、関係団体省庁とも意見交換
 小泉総理の諮問機関である「総合規制改革会議」(議長=宮内義彦・オリックス(株)代表取締役会長兼グループCEO)は、七月二十三日、経済活性化のために重点的に推進すべき規制改革策をまとめた「中間とりまとめ」を策定、公表した。このうち教育分野における株式会社の参入に関しては、学校の設置主体を国、地方公共団体及び学校法人に限定している学校教育法第二条は改正すべきだとし、新規参入者たる株式会社についても学校法人同様、「公の支配」が成立するよう、必要な関係法令を整備し、財政援助(助成)の道を開くよう求めている。今後は関係団体からの意見聴取、関係省庁との意見交換を進め十二月にも答申としてまとめる予定。

 教育分野における株式会社の参入に関しては、平成十四年度中に検討・措置する予定としているが、現在、総合規制改革会議と文部科学省の主張は平行線のまま。
 「中間とりまとめ」の中で総合規制改革会議は、株式会社参入のメリットを、資金調達の多様化、増大する社会人教育ニーズの把握とそれに対応した教育サービスの充実・向上、学生ニーズに直結した効率的な経営などと説明。文部科学省がすでに懸念を表明している教育への再投資の確保が株式会社では難しい等の問題については、利息支払いに該当する配当を行った残余は基本的には利益剰余金として積み立てられ、将来の投資に向けられるもので、直接教育に向けられなくても、学校法人も教育以外の使途での投資が許容されていることから両者に差異はないと説明するなど、株式会社と学校法人とをほぼ同等視している。こうした主張に対して文部科学省は利益第一主義から予想される教育方針等の安易な変更や目先の利益に走った教育などを懸念、学校経営の安定性・継続性を危惧している。また学校法人設立で株式会社も学校経営への参加が十分可能としている。
 一方、憲法八十九条(公の支配に属さない教育事業等に公金の支出を禁止する)問題に関しては、「八十九条後段の立法趣旨は、政教分離の補完が目的であり、教育等の事業への宗教的信念の滲透を防止するに必要な『公の支配』が成立する限り、財政援助を行うことは可能と考えられる」との考え。これに対し文部科学省は「経常費補助をはじめとする財政的支援をすることは国民の理解が得られないものと考える」と、また厚生労働省は「政府は八十九条の『公の支配』の目的を宗教性の排除に限定する考え方は採っておらず、原案の解釈は不適当」との意見を表明している。(近く詳報)
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