こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



全私学新聞

TOP >> バックナンバー一覧 >> 2002年7月23日号二ュース >> VIEW

記事2002年7月23日 号 (8面) 
ユニーク教育 (108) ―― 親和中学・親和女子高等学校
自らを開発する人間形成
オックスフォード大へ短期留学


 兵庫県神戸市灘区、阪急電鉄の六甲駅から徒歩で約十五分の所に位置する親和中学・親和女子高等学校(村上義徳校長)は明治二十年、親和女学校として、校祖・友国晴子氏によって創設された。友国氏が情熱をかけた「徳」の教育はあらゆる面で、一世紀を経た今なお脈々と同校に息づいている。
 同校が目指す教育は、女性という狭い枠を超えた視野に立ち「自らを積極的に開発していく人間形成」だ。人間形成に立った教育は英国のオックスフォード大学への短期研修留学や、異文化体験旅行の実施という、広く海外に目を向けた教育になって表れている。
 同校にとって初めての在外学校での研修となる、オックスフォード大学ハートフォードカレッジでの研修は、参加した二十四人の高校生にとっては、忘れられない研修となった。この研修は平成十三年八月一日から二十五日まで実施された。研修自体は神戸親和女子大学がすでに実施していた研修プログラムだったが、非常に好評で二年ほど前から高校生もそのプログラムを受講できないかどうか検討が始められていた。そして両校の努力の結果、とうとう高校生の研修プログラムが実現したのだ。大学関係でも、オックスフォード大学と提携をしているところは数少ないが、高校では全国で初めての研修を実施することとなった。
 オックスフォード大学での研修は、午前中は三十分のティータイムを挟んで、二クラスに分かれて英会話の授業を受け、午後からは英国の歴史や文化を学んだ。
 この授業は英語のみで行われ、大学生向けの内容とほとんど変わらない程度のものだ。
 親和生は同大学の学生寮を宿舎としたが、この研修の特色の一つが、生活世話係の学生(RA)が親和生の生活をサポートするシステムになっている点だ。これによって、親和生は授業以外でも同大学の学生の雰囲気を感じ取ることができた。 親和生たちは勉強以外でもさまざまな活動をした。平日は授業終了後、RAの学生と博物館へ見学に行ったり、スポーツ等の種々な活動を通して英国留学生生活を体験した。 研修の成果は予想以上だった。最大の目的の一つ、英語の研修では最初はぎこちなかった会話も少しずつではあるが、しっかりと、しかも自然と会話に入っていける心構えができるようになっていた。「その変化には目を見張った」(総務部国際課担当教員)と言う。
 それ以外にも親和生たちはかけがえのないひと時を体験した。参加した生徒の感想文の一節だ。
 「私はまだ英語の一面にしか触れていませんが、日本と違う文化に触れることで、自分自身の考えや価値観が変わりました」「イギリス人は伝統をとても大切にしていることが分かりました」
 修了式は十六世紀に建てられた重厚な建物で行われた。親和生一人ひとりに証書が手渡された。親和生はお礼に校歌のコーラスを披露し、会場で見守る人たちみんなと感動を分かち合った。
 一方、今年で二回目となる異文化体験旅行は八月十八日から五泊六日の予定で、中国の北京と上海に行く。九十九人が参加する予定で、この中には中学一年生が四十六人含まれている。
 現地では天安門広場や故宮博物院を見学したり、万里の長城を訪ねたりする。京劇や上海雑技団の舞台も観賞する。また学校を訪問し、中高生と交流する。現在、中国の歴史、文化、地理、中国語などについて事前学習の真っ最中だ。


記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞