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記事2002年7月13日 号 (1面) 
私学の審議会見直し
総合規制改革会議 株式会社の教育参入問題等で文科省と意見交換
“学校法人制度でも参入は十分可能”
利益最優先を危惧 文部科学省
私学の自主性尊重が基本
現行の私学制度で最重要

 政府の総合規制改革会議(議長=宮内義彦・オリックス(株)代表取締役会長兼グループCEO)は、七月三日、東京・永田町の同会議事務局で第四回会合を開き、文部科学省など四機関と規制改革を巡り意見交換した。  このうち文科省に対しては四項目の質問が提出された。(1)産学連携の推進(国立大の法人化の際、教員の非公務員化、招聘型任期付き教員の能力・実績に応じた処遇、教員の任期制の積極的導入等を実現し一層促進する)(2)私立学校審議会の見直し(委員の人数、対象者、比率等を都道府県知事に委ねる)(3)教育における株式会社の参入(株式会社を参入できるようにする)(4)インターナショナルに関する制度整備(インターナショナルスクールの定義を明確化し寄付の特例措置などで支援。インターナショナルスクールから大学や高校に進学しやすくする)  これらに対して文部科学省は、「私学審議会は、私学関係者の意見を十分反映することにより、私立学校に対する所轄庁の関与の適正を期するという趣旨から設けられているもので、私立学校の自主性の尊重を基本とする現行私学制度において極めて重要。このような私学審議会の趣旨を全国的に共通して担保するために、委員の構成も含め、法律によって規定されている」と説明。同時に規制改革推進三か年計画に基づき私学審の検討を進めているところとした。  大学等への株式会社参入に関して文部科学省は、教育基本法で学校は「公の性質」を有するものと規定されていること、現在すでに学校法人設立を通して企業の教育事業への参画が可能なこと等を指摘。私学には企業が母体となる大学等が多数あり、東洋食品工業短期大学(東洋製罐)、流通経済大学(日本通運)、湘北短期大学(ソニー)、神奈川工科大学(マルハ)、流通科学大学(ダイエー)、東京工芸大学(コニカ)、豊田工業大学(トヨタ自動車)、星薬科大学(星製薬)などがその一例と紹介している。  しかし株式会社が直接大学を設置する場合、(1)利益の追求と私的配分(株式配当)が中心となり、教育への還元は二次的なものとなる恐れがある(2)大出資者の意向で教育方針等が安易に変更されたり、極端な資格試験対策など目先の利益に走った教育が行われる恐れがある(3)業績悪化による大学の差し押さえ・廃止などの不安定性(4)株式会社は最低資本金が一千万円のため、学校の経営基盤が脆弱・不安定になる恐れがあると指摘。  その一方で学校法人は民間的な経営手法を駆使した運営も可能であり、また設立認可の弾力化によって学校法人をさらに作りやすくし、経営への企業人の参画など民間的な経営手法を積極的に活用し運営改善に十分配慮していく考えも明らかにしている。

23日に中間報告

 総合規制改革会議は七月十一日に第五回会議を開き「中間とりまとめ」の素案を審議し、七月二十三日の第六回会議で「中間とりまとめ」の案文審議・決定を行うことにしている。
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