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記事2002年7月13日 号 (2面) 
社会人学生が増える大学院
68%の私大が大学院を設置
昼夜開講制の実施
通信制大学院も制度化
 文部科学省の調査によれば、昨年五月一日現在で国公私立の大学院(修士課程・博士課程)で学んでいる学生は二十一万六千三百二十二人。このうち三三・〇%に当たる七万千四百七十四人が私立大学大学院に在学している。全国に大学院を置く大学は四百九十四校あるが、このうち私立大学は三百三十九校。六八・二%の私立大学が大学院を設置している。近年、昼夜開講制を実施する大学院が増え、通信制大学院も制度化され、大学院で学ぶ社会人も増加傾向にある。変わりつつある大学院の現状を見ることにする。  十二年度現在で社会人特別入試を行っている大学院は三百五校(うち百九十五校が私立)。九年度と比べると八十六校増加。社会人入学者も十二年度は九千四百六人で、九年度の六千百十二人から大きく増えた。十三年度現在で大学院における社会人学生の占める割合は、修士課程在学者十五万七百九十七人のうち一万八千百二十二人で、全体の一二・〇%。博士課程では六万五千五百二十五人のうち一万千百十五人で一七・〇%となっている。  分野別で見ると、社会科学系(修士)が八千二十八人(三四・三%)、教育系(同)が三千六百六十七人(三二・一%)と高い比率を占めている。社会科学系は資格取得や経営学修士号取得を目指す社会人が、教育系はリカレント教育を受けたいと望む現職教員が多いものとみられる。  こうした社会人の受け入れにも対応して、夜間大学院は十三年度で、二十校二十三研究科二十八専攻。昼夜開講制を行う大学院は十二年度で百九十六校。八年度には百二十八校だった。通信制大学院は十三年度で七校、千九人が在学している。十一年度に通信制大学院が四校でスタートした時には在学生は三百六十八人だったから、急速にこの制度に対するニーズが高まっているといえる。  入学者の受け入れ時期についても四月以外の時期に受け入れる大学院が少なくない。十一年度では七十四校で千百二十七人(このうち私立大学大学院には二十九校で二百六十九人)が四月以外の時期に入学した。  大学院(修士課程)修了者四万八千六百九十七人(十三年度)の進路は、八一・一%までが就職で、博士課程進学者は一八・九%にとどまっている。大半が就職の道を選んでおり、研究者養成の機能だけを果たしている大学院は少数であることが分かる。人口千人当たりの大学院在学者数を国際比較してみると、アメリカ七・六五人、イギリス七・一〇人に対して、日本は一・六二人にとどまっている。  しかし、社会人のリカレント教育、生涯学習ニーズへの高まりや、今後、高度専門職業人養成を目指した大学院の開設が増えてくることも予想され、多様化した大学院への入学者はますます増えるものとみられる。
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