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記事2002年6月3日 号 (1面) 
大学の質の保証に係るシステム
中教審大学分科会将来国z部会3団体からヒアリング
日短協 準学士を学位に要望
団体連 競争基盤の公平性前提
 中央教育審議会大学分科会の将来構想部会は五月二十三日、東京・虎ノ門の文部科学省分館で第十回部会を開いた。同部会では四月十八日に、現行の事前規制型の設置認可制度を見直し、第三者評価(適格認定)制度を導入することを提言した中間報告「大学の質の保証に係る新たなシステムの構築について」をまとめており、これについて、日本私立大学団体連合会、日本私立短期大学協会、公立大学協会の三団体からヒアリングを行った。私大団体連、日短協とも中間報告の基本的な考え方には理解を示しつつも、それぞれの立場から要望事項を述べた。
 部会には私大団体連を代表して菅野卓雄・教育改革委員会委員(東洋大学理事長)が出席、意見陳述した。中間報告における、大学の自己責任を明らかにし、第三者による評価体制を整備することの趣旨については基本的に賛成であるとしつつ、これには国から高等教育への公金支出と税制面で、国公私立間の競争基盤の公平性が前提になると指摘。また、大学の質の評価は本来、大学自らが行うもので、第三者評価により評価資料を社会に提供し、最終的には利用者である学生とその保護者の判断にゆだねられるべきだとした。さらに、認証評価機関による第三者評価の結果によって国が大学の質を保証するものであってはならないと指摘。国が評価機関を設置するとしても、そこで私立大学の評価を強制しないよう求めた。
 日短協からは川並弘昭会長(聖徳大学短期大学部理事長・学長)、山内昭人常任理事(香蘭女子短期大学理事長)が出席。川並会長は短期大学基準協会の取り組みとして、既に三十四組の会員短大が相互評価を実施し、成果を上げていること、今年度から会員短大を対象とする第三者評価を実施していくことを紹介した。山内常任理事は日短協の意見として、事前規制型から事後チェック型への移行には賛意を表した。そのうえで、短大の設置認可の対象は、短大の設置・廃止および設置者の変更、新たな種類・分野の学科設置、短大全体の収容定員増に係る学則変更に限定し、審査手続きや審査内容を大幅に簡素化すべきだとした。また、準学士の称号を学位とすることによって、今後の設置審査で大学と短大を同じ取り扱いとするよう求めた。大都市部における抑制措置の撤廃方針については、大都市部とそれ以外の地域間の格差是正の観点から、短大の活性化策について別途検討する必要性があることを指摘。第三者評価の導入に当たっては、あくまでも自己点検・評価の客観性を高める観点に立った制度でなければならないとした。さらに、川並会長、山内常任理事とも評価機関に対する国の支援よりも第三者評価を受ける大学・短大への事前補助、事後補助などの支援をと訴えた。
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