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記事2002年6月3日 号 (1面) 
加盟大学財務状況の概要
私大連が公表
帰属収入に占める学生納付金比率71・1%
依然厳しい財務状況
 日本私立大学連盟(奥島孝康会長=早稲田大学総長)はこのほど「加盟大学財務状況の概要平成十二年度実績」を公表した。「概要」によると、同連盟加盟法人の大学部門の帰属収入に占める学生納付金の割合は年々高まる傾向にあったが、平成十二年度は前年度に比べ〇・八ポイント減の七一・一%となっていることが分かった。若干の割合の低下は見られるものの、依然として学生納付金に依存せざるを得ない厳しい財務状況が続いている。調査は加盟百八法人百二十一大学に対して実施した。

 大学部門の財務状況のうち消費収支決算を見ると、平成十二年度の大学部門の帰属収入は一兆四千三百二十二億円(前年度比三・八%増)で、ここから基本金組入額二千四百三十一億円を控除した消費収入は一兆千八百九十一億円(前年度比五・六%増=以下同じ)。消費支出は一兆二千三百九十四億円(二・七%増)。増減率が前年度に比べて帰属収入では上昇し、基本金組入額では低下したため、消費収入は大きく増加した。十二年度は消費支出が拡大し、消費支出超過になったものの、消費収支差額は前年度の八百十五億円から五百三億円に改善している。資金収支決算を見ると、収入は一兆六千八百七十二億円(五・九%増)、支出は一兆四千七百六十七億円(二・六%増)で、収支差額は二千百五億円となっており、前年度に比べ大幅に拡大している。その理由としては、収入の増加に比べて支出の増加が抑制されたことが大きく、とりわけ施設関係支出、設備関係支出の抑制が目立つことによる。
 大学部門の帰属収入のうち、学生納付金収入は一兆百八十七億円(二・七%増)で、十二年度で初めて一兆円を超えた。加盟大学数の増加や大学院の拡充によって、学生数が前年度より約一万人多い九十七万人に増えたことによる。帰属収入に占める割合は七一・一%。
 手数料収入は平成三年度の七百五十六億円をピークに年々減少する傾向にあったが、平成十二年度は五百八十二億円と前年度比で六億円増えた。これは私立大学志願者が若干増加に転じたため。
 寄附金収入は五百九十一億円(一六・五%増)だが、これは特定大学における寄附金の大幅な増加がその要因の一つ。
 国または地方公共団体から交付された補助金収入は千六百三十五億円(〇・七%減)。
 資産運用収入は三百二十七億円(五・三%増)と前年度に比べて若干増加した。しかし、依然として経済の先行きに不透明感が漂っており、このような状況下で資産運用に苦しんでいるのが私立大学の実情だ。
 借入金等収入は千二百十二億円で、前年度に比べて三百十億円(三四・四%)の増加。低金利状態が長く続く中で、将来に備えて、施設の整備充実を低金利の資金導入により行おうとする姿勢がうかがえる。
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