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記事2002年6月23日 号 (1面) 
国の関与を縮小 地方の権限拡大
政府の審議会等が次々改革案
義務教育費国庫負担見直し
株式会社の教育参入も議題に
 小泉内閣の掲げる構造改革や来年度概算要求をにらんで政府の経済財政諮問会議や地方分権改革推進会議、財政制度等審議会、税制調査会、総合規制改革会議等が活発な動きを見せている。これまでの論議では、義務教育費国庫負担や地方交付税制度の見直し等が浮上しているが、国の関与の縮小、地方の権限と責任の大幅拡大(全国一律主義の廃止)、民間活力の活用等がカギとなっている。
 各審議会等の論議を教育中心にみると。
 ●地方分権改革推進会議=六月十七日に「事務・事業の在り方に関する中間報告自主・自立の地域社会を目指して」を公表した。国の地方への関与・規制の理由となる「ナショナル・ミニマム」(国民が保障されるべき最低限の行政サービス)について国は、多くの分野で達成しているとの前提に立ち、地方公共団体が、それぞれの地域住民のニーズに応えて地域ごとに最適な施策の組み合わせ、最適状態(ローカル・オプティマム)実現への方向転換を提言している。教育分野では、学習指導要領の一層の見直し、弾力化の下での多様な教育活動の事例紹介、学級編制で四十一人以上の学級編制も現行制度において認められるものであることを地方公共団体に周知する、義務教育費国庫負担制度で負担対象経費の見直し・限定などを行うよう求めており、将来的には同国庫負担の一般財源化の検討の必要性を指摘している。
 ●総合規制改革会議=六月十一日に第三回会議を開催した。五つ設けられているワーキンググループから検討状況が報告され、そのうち官製市場見直しワーキンググループでは、現在参入を制限され、かつ相当の市場規模があり経済活性化に資すると考えうる医療、福祉、教育、農業分野について株式会社形態による市場参入の門戸開放・拡大を図ることを検討している。憲法八九条の問題については、「行為を規制する関連法令が適用されることをもって『公の支配』に属するとの解釈ができることから、株式会社への支援が可能となり、新たな参入主体も容認される」との考えだ。七月中旬にも中間とりまとめを決定する予定。
 ●財政制度等審議会(財務省)=六月三日に「平成十五年度予算編成の基本的考え方について」を公表した。総論としては「改革断行予算」の継続、一般歳出の伸びについて目標を設定するなど財政規律の堅持、重点七分野の一層の明確化を打ち出している。このうち教育分野の私学助成に関しては、大学等は経常費補助を抑制し、国公私立を通じた競争原理に基づく支援へ重点化を図り、高校以下に関しては、奨励的補助金の縮減・合理化の方針に沿って、徹底的な見直しを行う必要があると指摘している。
 ●経済財政諮問会議=六月二十一日に「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002」をまとめた。一年前に策定した骨太の方針の第二段というべきもの。教育に関しては国立大学の法人化と教員・事務職員等の非公務員化を平成十六年を目途に開始するなど大学改革、大学、大学院、専修学校等で社会人の再教育等に柔軟に応える機能(コミュニティ・カレッジ)の強化、英語教育の改善のための行動計画の取りまとめなどを行うとしており、国と地方に関しては、国庫補助金、交付税、税源移譲を含む税源配分の在り方を三位一体で検討し、一年以内を目途に改革案を取りまとめるとしている。


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