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記事2002年6月23日 号 (2面) 
私立中高校 理事長校長ら対象に経営研修会
伝統と改革テーマ パネル討議
各界の協力、親の教育も不可欠
 全国から百人を超える私立中学高校の理事長や校長らが参加して、私立学校のあり方等を考える「私学経営研修会」が五月二十九日から三日間、広島市のリーガロイヤルホテル広島を主会場に開かれた。今年の研究のねらいは「伝統と改革II学びの場の創造を求めて」で、パネル討議や講演等を通じて、学校改革の中で変革すべきこと、変えてはいけないこと等を考えた。

 この研修会は財団法人私学研修福祉会が主催、財団法人日本私学教育研究所が協力。広島県私立中学高等学校協会、日本私立中学高等学校連合会等が後援した。このうち二日目のパネル討議では、「私立学校の伝統と改革学びの場の創造を求めて」をテーマに、地元を代表して安藤欣賢・中国新聞社特別論説委員、松坂敬太郎・ヒロボー(株)社長が、また私学側からは中川武夫・淑徳巣鴨中学高校長の三人が意見を発表、實吉幹夫・東京女子学園中学高校長が司会進行役を務めた。
 この中で安藤氏はわが国の受験勉強中心の、個人の希望をなおざりにした教育や、核家族化による家庭機能の崩壊、急速な消費社会化などにより子どもたちの発達が精神的にも肉体的にもゆがめらてきたこと、こうした問題の解決には子どもと同時に親の教育が重要なことを指摘。
 また学校教育に関しては、世の中には人間の理解を超えることがあることや、死などについても教え、積極的に異世代交流を進めてほしいと注文した。
 松坂氏は父親の紡績会社が倒産、裕福な生活から一転、ゼロからの再出発で世界一のラジコンヘリコプターメーカーとなった経験から、改革には使命感、共感者が必要で、初めに変えてはいけないものを見つけることの大切さ、ゼロになることで大事なもの、それまで見えなかったものが見えてくることを強調、もう一度ハングリーな体験の必要性を強調した。
 さらに中川氏は自分の学校のオリジナリティーこそが重要で、同校では、あらゆる業界の第一人者に学校のスポンサーとして(無償で)、講義をしてもらっていること、講義では本音で生徒とぶつかってもらい、生徒たちの“やる気”を引き出していること、卒業生にもアシスタントティーチャー(AT)になってもらい、一週間の授業で分からなかった点を生徒が土曜日にATに聞くといった連携を取っていることなどを報告した。
 また教育の正常化には父親の学校参加が重要なことを力説。
 さらに土曜日、学内で勉強するだけではなく、東京都内の公共施設等に学ぶ場を広げた「東京キャンパス構想」を検討していることを明らかにした。(近く詳報)


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