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記事2002年6月23日 号 (3面) 
日私教研合同会議 執行体制決め教育の質向上へ
私学独自の10年経験者研修検討
 財団法人日本私学教育研究所(堀越克明理事長=堀越高校長)は、六月十一日、東京・新宿区のグランドヒル市ヶ谷で第八十九回理事会と第七十九回評議員会の合同会議を開き、平成十四・十五年度の理事長に堀越現理事長を、副理事長に田沼智明現副理事長を、所長に杉山克己現所長をいずれも再任することを決めた。またこの日、理事長推薦の理事や評議員も決まり、今後二年間の執行体制が固まった。
 続いて平成十三年度の事業報告、同会計決算報告も承認された。
 このほか平成十四年度の事業計画に関して、最新の状況が報告された。
 このうち最も関心が高かったのが公立学校で来年度から始まる予定の教員の「十年経験者研修」の問題。この問題は中教審が今年二月二十一日の答申の中で提言したもの。現在の通常国会で裏づけとなる教育公務員特例法の一部改正案が成立している。教員免許の更新制を見送った代わりに導入することを決めたもので、従来の一律的な研修とは異なり、個々の教員の勤務成績の評定結果や研修実績等に基づく教員のニーズ等に応じた研修を行い、また得意分野を伸ばし、弱点を補うのが特徴。ただし法律は公立学校のみを対象にしたもので、私立学校教員の扱いは決まっていない。
 この十年研修が目下、私立学校教員を対象にしていないことから、同研究所では四月十二日に文部科学省に口頭で要望、続いて五月二十日には文書で研修に対する考えを提出している。現在、文部科学省は私学の教員が独自に十年研修を行うことには歓迎の意向だが、財政面では支援できないとの姿勢。
 しかし教育公務員に義務付けられたもので、私学の教員にも研修の機会が与えられるべきもの、十年研修と同様の経緯で始まった初任者研修では私学にも財政措置が取られていることなどから、今後も実現に向け文部科学省等に働きかけを続けていく方針。ただし教育委員会主催の公立学校教員研修会に参加することは、地方教育行政の一元化につながりかねないことから、文部科学省の支援を受けながらも独自の研修を構築する考えだ。
 私学でも県によっては私学協会が中心となって中堅教員を対象にした研修が行われているが、そうした経験も活用しながら、また同研究所の直轄研修会の体系化なども視野に入れながら、具体化を模索していく方針だ。公立学校の場合、全国の八割の都道府県で中堅教員の研修会が行われているが、今度の十年経験者研修は、かなり個別的になる。文部科学省は早ければ七月にも研修のマスタープランを提示する見通しだが、これまでのところ、校内研修二十日、校外研修二十日といった期間が構想されている模様。
 この問題について田沼副理事長は、「私学としてどうやっていくのか。経費の問題では大きな課題を背負った。経験ある県に話してもらい私学らしい研修にしていきたい。みんなで考えていこう」と呼びかけた。
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